本研究は、即興音楽療法の感性トレーニングを応用した対人支援者向けの人材育成を目指すものである。本来、2020年度に行われる予定だった研究計画の内容が、COVID の影響を受け滞ってから2年目となる。 昨年は、オンラインによる感性トレーニングのワークショップを2件実施した。その中で、これまで行ってきた文献調査やインタビューの内容をまとめ、発表することもできた。2件とも評価を得られたものの、本研究の根幹部分に重要な要素を考慮すると、やはりオンラインでは限界があり、研修プログラムを通して達成したい到達レベルまでに至らないことを確認するに至った。やはり本研修プログラムの内容は、対面重視で進めて行きたいという意向が一層強まった。 対面による研修実施は、前年度に引き続き、COVIDの影響を受け進展はなかった。以前より、本研究への協力を申し出てくれている施設は既にあるが、COVID感染への高リスク者へのケアを行う施設ばかりのため、対面での実施に踏み切れずにいる。 しかし、研究の進展があまりなかった期間中、大学院での音楽療法士育成トレーニングを通し、様々な感性トレーニングの方法を見直すことができた。これは、本研究がそもそも応用しようとしている即興音楽療法のアプローチのもので、対人支援者向けのプログラム開発には非常に役立つ実践的なフィードバックとなっている。 また、海外の音楽療法士や教育者との新たな人脈も開拓され、彼らとの情報共有や意見交換を通し、本研究をよりサポートしてくれるようなディスカッションが生まれている。彼らとは、今後共同執筆での発表を検討している。
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