研究課題
若手研究
統計的仮説検定は仮説を検定する一般的な方法だが、近年この検定法の誤解や誤用が氾濫し、さまざまな分野で警鐘が鳴らされている。統計的仮説検定はフィッシャー流の有意性検定とネイマン‐ピアソン流の仮説検定を混成した検定法である。フィッシャーとネイマン‐ピアソンは検定法に関する科学哲学的な論争を繰り広げた。この論争は解決をみずに終結し、現在でも科学哲学的問題は棚上げにされたままである。本研究では、統計的仮説検定の誤解や誤用される要因を究明するため科学史・科学哲学の観点から考察する。
科学哲学
生物学や心理学などの統計解析を使用する分野では、科学哲学的な問題に踏込むよりも実用的な要請への対応が優先される。本研究は、統計的仮説検定の誤解と誤用に正面から向き合い、史的考察と哲学的分析を通じて、統計的仮説検定の適切な使用法を示す点が創造的であり、科学史・科学哲学のみならず統計教育の領域にも貢献できることが期待できる。