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2021 年度 実施状況報告書

長崎原爆文学と被爆者運動の相互性に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K13056
研究機関宮崎公立大学

研究代表者

楠田 剛士  宮崎公立大学, 人文学部, 准教授 (20611677)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード原爆の図丸木美術館 / 大江健三郎 / 『ヒロシマ・ノート』 / 原爆 / 桜庭一樹 / 『私の男』 / 震災
研究実績の概要

今年度も新型コロナウィルス感染症の感染拡大の影響を受け、長崎・広島など県外への出張が叶わず十分な研究活動ができなかったために当初の予定よりも少ない実績となった。
前年度に行った、原爆の図丸木美術館学芸員の岡村幸宣氏の『未来へ―原爆の図丸木美術館学芸員作業日誌2011-2016』の合評会の内容を活字化した。企画の趣旨と質疑応答をまとめ、柿木伸之氏と水溜真由美氏の書評と、著者の岡村幸宣氏のリプライを掲載した。
第64回原爆文学研究会(オンライン)において大江健三郎『ヒロシマ・ノート』に関するワークショップに、日本近代文学研究者の高橋由貴氏、メディア文化史研究者の山本昭宏氏とともに登壇した。報告ではまず書誌をまとめ、本文異同について従来指摘されてきた初出の「世界」から初刊の岩波新書への加筆修正だけではなく、再刊にも若干の異同が見られること、岩波新書版が一九九五年六〇刷の時点で差別用語などに関して訂正されたことを述べた。次に先行評の特徴をまとめ、作家の成長や態度、同時期の小説、先行するルポルタージュ、『沖縄ノート』、その他の大江作品、思想的背景、ナショナリズム、ナショナルな語りのずらし、記録的文章、視覚表現との関連などが比較検討のトピックになっていることを述べた。以上の内容を論文化した。
また被害からの復興という観点から桜庭一樹『私の男』を論じ、参考文献を踏まえて書かれた小説の記述が被災状況を再現し補足するものにとどまらず、復興の困難さも浮き彫りにしていることを指摘した。これまで震災小説とみなされなかった作品であっても、東日本大震災の地震・津波・原発事故後においては新たな視点で考察できることを示した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

上記のように新型コロナウィルス感染症の影響により県外出張ができず、現地での実物資料の調査・閲覧・複写ができなかったため十分に研究活動を行うことができなかった。

今後の研究の推進方策

今後もしばらくは県外調査が難しいと考えられる。次年度が研究の最終年になるため、手元の資料の整理・精査を行いながら、状況を見て調査の機会を設けたい。またオンライン研究会・学会にも積極的に参加したい。

次年度使用額が生じた理由

上記のように新型コロナウィルス感染症の影響により県外出張ができず、予定していた現地での実物資料の調査・閲覧・複写ができなかった。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 『ヒロシマ・ノート』再読のために2022

    • 著者名/発表者名
      楠田剛士
    • 雑誌名

      原爆文学研究

      巻: 20 ページ: 158-167

  • [雑誌論文] 震災小説としての『私の男』2021

    • 著者名/発表者名
      楠田剛士
    • 雑誌名

      敍説

      巻: 3(19) ページ: 211-222

  • [学会発表] 大江健三郎『ヒロシマ・ノート』再読のためのノート2021

    • 著者名/発表者名
      楠田剛士
    • 学会等名
      第64回原爆文学研究会

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公開日: 2022-12-28  

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