研究課題/領域番号 |
19K13062
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 実践女子大学 |
研究代表者 |
松原 哲子 実践女子大学, 研究推進機構, 研究員 (70796391)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 初期草双紙 / 赤本 / 黒本青本 / 鱗形屋 / 題簽 / 紙質分析 / 装訂 / 後摺 |
研究成果の概要 |
国内外の初期草双紙について装訂の整理から初摺と後摺とに分別し、見返し等への当時の所有者の書き入れ情報を紐づけ、情報を整理した。 研究代表者はかつて三田村彦五郎の署名入りの草双紙群を整理し、彦五郎の草双紙購入の時期の絞り込みを試みたが、本研究では初摺本および後摺本の当時の所有者の購入時期についての情報を収集・整理し、草双紙の愛好家(読者)が初摺の新作と後摺の旧作とを同時購入するようなかたちでコレクションを構成していたと想定することが順当であることを確認した。 また、伝本を評価する新たな視点として紙質に注目し、印刷情報からは得られない年代推定の可能性について検討し、一定の有効性を確認した。
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自由記述の分野 |
日本近世文学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
草双紙は大田南畝『菊寿草』の言辞をもとに文学史上の定義が形成され、それが現在も各作品の評価基準として使用されている側面がある。 いわゆる黄表紙登場以前の初期草双紙については、黄表紙に比して素朴で他愛もない内容のものだと認識され、黄表紙の特殊性や優位性を強調する際の比較対象として示されることも多い。 本研究では、草双紙は時代と共に発展・洗練された、刊行時期によって性質が異なるなどの従来の草双紙研究の前提に対して疑問を投げかける点で学術的意義を有する。後摺本を含めた草双紙の流通の実態を踏まえると時代の変化に影響されない、普遍的な性質を持つ存在としての草双紙がみえてくる。
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