本研究は、ポスト占領期の各新聞・雑誌における美術言説調査・整理に基づく、文学者の海外特派員派遣体制・実態の調査・検証・分析、また文学者による海外体験・美術言説の調査・検証・分析を通じて、当該期の文学者における西洋文化受容の内実解明を目的としている。 2022年度も引き続き、海外体験・美術言説について情報・資料調査・収集し、それに基づく文学者の海外体験・美術言説の検証・分析を進めた。 COVID-19パンデミックの影響により、2020年3月以来、国内外における研究調査、フィールドワークが制限される状態が続いた。可能な手段での図書資料、複写資料の収集と分析に努めてきたが、2022年度末時点まで多くの国内外大学図書館・調査機関の利用制限が続いていたため、他大学図書館や海外機関での文献調査・フィールドワークに関しては叶わず、予定していた調査課題の一部は今後の継続事項となった。 ただし、限界はありながらも再開している国内図書館・資料室にて資料収集・研究調査を進めた。それらの調査により、ポスト占領期を中心とする1950年代の各新聞・雑誌における美術言説整理をさらに進めることができた。当該年度に行った調査を含め、これまでの調査を基盤に、文学者の海外特派員体制・実態の調査とともに分析を進め、美術批評に即して、美術(体験)の記述行為および美術受容における言語表現の機能の検討を進めることができた。 上記成果は年度中には公表できなかったが、2023年度中に発表予定である。
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