研究課題/領域番号 |
19K13066
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研究機関 | 白百合女子大学 |
研究代表者 |
宮本 祐規子 白百合女子大学, 文学部, 准教授 (50720364)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 浮世草子 / 井原西鶴 / 都の錦 / 玉藻前 / 多田南嶺 / 演劇 |
研究実績の概要 |
今年度も、西鶴以降の前期小説と特に絵画との関係性について基礎的研究を進めた。 昨年度に引き続き、西鶴の挿絵と出版状況及び実際の器物との関係性について整理・調査を進めている。特に、従来の挿絵のキャプションに言及されない器物類と文化・社会的背景について調査を進めてきた。例えば、茶の湯に関し、美術館・博物館の現存所蔵品との比較、或いは浮世草子以降の書籍の挿絵と比較することで、近世初期における一般的な茶の湯理解が明示されてくるのではないかと想定し、知見を得てきた。また、東大寺での調査を踏まえ、お水取りを取り上げた『西鶴諸国はなし』巻2-3「水筋の抜け道」における、西鶴の大坂に住んでいる作者としての意味を考察し、知見を得てきた。 研究成果としては、浮世草子に関する論文「都の錦『好色堪忍ぶくろ』私考」(『日本文学研究ジャーナル』第21号、2022年3月)を発表した。流罪に処されていた都の錦が、帰京した後のタイミングで刊行された『好色堪忍ぶくろ』について、都の錦の執筆活動上の意義を含め、論じた。 また、浮世草子本文と挿絵から見る古典的説話の劇化について「玉藻前の劇化と近世初期小説」と題し、シンポジウム「講談「玉藻の前」と江戸文芸」(2021年12月21日、主催日本女子大学文学部、於オンライン)にて発表した。ここでは、多田南嶺『道成寺岐柳』を特に取り上げ、玉藻前に関する先行作をバランス良く踏まえ受容しつつ、綯い交ぜていく南嶺の編集意識を考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍が続き、調査が進められなかった点もあるが、段々と調査も可能になり、最終年度に向け、準備段階としては整ってきているかと考える。
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今後の研究の推進方策 |
これまでと同様に、浮世草子関連作を、文化的側面から論じていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナのため、学会がオンライン開催であったり、調査出張ができにくかったため。
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