研究課題
若手研究
まず井伏作品では、翻訳という行為が共同体の共同性を構築する政治的活動としてあり、それが作中の表記や音のレベルに至るまで動員されながら描かれることを明らかにした。またテクストの翻訳出版状況という点では、1940年代~50年代における日本文学の海外普及について、ユネスコの翻訳出版プロジェクトが、欧州と北米圏で日本文学が普及するための一つのインフラとして機能していたことを示した。
日本近代文学
本研究課題を通して、文学テクストにおける翻訳表象のありようを表記や音の観点から新たに考察したこと、また、ユネスコによる日本文学作品の翻訳出版事業の特徴を明らかにしたことが学術的意義として挙げられる。社会的意義としては、これらの成果の一部を、国際研究集会にて国内外の人文学研究者と共有し、また他方で、文学館主催講演を通じ研究意義を社会に向けて発信することができた。