研究課題
若手研究
当初の仮説の通り、「本名」を名乗ることに関する抵抗や違和感は同時代的に多々みられた。具体的内容として注目に値するのは、当事者の運動推進者・参加者においてはすでに乗り越えられた壁として語られていることであり、一方で日本人教員側からは、なぜ「本名」を名乗ることが必要なのかに対する理解不足への反省もしばしば語られていたことである。抵抗や違和感は、後年の振り返りにおいては乗り越えられた壁として概括して語られていくことになるが、その背景には教員側における「反省から超克へ」という変遷があったと考えられる。
日本近代文学、在日朝鮮人文学
「コロナ禍」や研究代表者の業務における大きな変化などにより充分な研究成果が挙げられたとは言い難い本研究課題だが、概要でも述べたように後年の研究や運動の総括・振り返りにおいては超克された課題として後景化されて語られていた、同時代における運動への違和感や抵抗のパターンを整理したうえで、それを運動の推進者がどれほど把握していたかを明らかにした点が本研究の意義として挙げられる。