研究課題/領域番号 |
19K13073
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
中安 真理 同志社大学, 文化情報学部, 准教授 (20745070)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 講式 / 高野山 / 明神 / 神祇信仰 |
研究実績の概要 |
本研究の第1の目的は、空海が816年に開いた真言密教の霊山・高野山の地主神である四所明神を讃嘆する「明神講式」について、現在27点知られている写本・刊本の悉皆調査を行い、各写本・刊本間の差異を比較整理し、系統化することを通じて祖型をもとめ、全容を把握することである。その過程で、成立背景や伝存の歴史についても精査する。 第2の目的は、講式の字句について典拠を逐一特定し、内容構成の特徴について明らかにすることである。 2019年度に、現存写本27点のうち17点の写本調査を終えたため、2020年度と2021年度は、引き続き10点の写本調査を行う予定であったが、新型コロナウイルス感染症蔓延 防止のため延期せざるを得なかった。その代わり、2020年度は「明神講式」(全5段)の字句の典拠に関する調査研究に取り組み、さらに2021年度は、高野山松本日進堂発行の『延べ書き 明神講式』を入手し、文字データの書き起こしならびに諸本との比較を行った。本資料は、高野山で行われる法会「明神講式」の関係者用に制作されたもので、一般には流通しない非売品である。2022年度は、これまでの調査研究結果を踏まえ、諸本の成立時期について精査し、「明神講式」本文の整理を進めた。 2023年度には、新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行を受け、残り10点の写本調査を再開したい。引き続き、「明神講式」本文の整理を行い、注釈を付したものを完成させる予定である。さらには高野山僧侶の神祇信仰なども含めた総合的な考察を行いたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2022年度は講義形態が対面にほぼ戻ったものの、学部の講義に加えて大学院の講義も担当することとなり、結果的に担当時間数が増加し、研究課題遂行のための時間の確保がさらに困難となった。 上記の理由および新型コロナウイルス感染症の蔓延防止に配慮し、実見調査も延期せざるをえなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度の調査を予定している写本10点の詳細は次のとおりである。 1)高野山大学附属図書館所蔵分7点〔丹生高野明神講式 写本 室町時代 金剛三昧院/丹生明神講式 写本 正徳3年(1713) 真別所/明神講式 写本 室町時代 増福院文庫/明神講式 写本 明暦元年(1655) 三宝院文庫/明神講式 写本 江戸時代 三宝院文庫/明神講式 写本 明和5年(1768) 真別 所/明神講式諸祭文 写本 江戸時代 光台院〕、 2)早稲田大学所蔵分1点、 3)醍醐寺所蔵分1点〔明神講式 写本 永仁7年(1299)〕 4)大覚寺所蔵分 1点〔明神講式 写本 明和5年(1768)〕 以上について、可能なかぎり実見調査を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
各関係機関にて写本の実見調査を実施する予定であったが、新型コロナウイルス感染症蔓延防止への配慮により、実施を次年度に延期したため。
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