新型コロナウィルス感染拡大の影響により、児灌頂伝本の書写活動の場となった関東の天台寺院の本格的な資料調査はできなかったが、立教大学付属図書館において、近代の書写者の一人である岩田準一の手になる写本の確認や、稲敷市歴史民俗資料館との情報共有によって、児灌頂伝本の伝流に大きく関与したと考えられる学僧・尊栄の追跡調査ができた。このほか児灌頂の背景に広がる中世の言説「赤白二滴(さんずいに帝)」と禅との融合を考察し「『体内口決』に関する覚書〈附翻刻〉」(奈良女子大学『叙説』47巻2020年3月)を発表した。
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