研究課題/領域番号 |
19K13079
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研究機関 | 九州産業大学 |
研究代表者 |
森 誠子 九州産業大学, 基礎教育センター, 准教授 (20615356)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 説話 / お伽草子 / 軍記物語 / 平家物語 / 伝承文学 / 在地伝承 / 芸能 / 絵画 |
研究実績の概要 |
本研究は、『平家物語』並びにこれと題材の共通する諸文芸(お伽草子・説話・寺社縁起・芸能・絵画等)を同時代的・通史的に突き合わせ、そこに平家滅亡の地である北部九州をはじめとする地域の祭りや伝承に関わる言説等を加えることで、平家にまつわる文芸の生成及び流布の様相を解明しようとするものである。その好適な例である『平家物語』に描かれる女性説話を切り口に、平家にまつわる文芸領域の動態を解明し、その結果として中世期から近世前期における総合的な文芸領域の様相を解明することを目指している。 当該2019年度は、多様な諸本を持ち多様な女人往生を記す『平家物語』について、諸本を俯瞰的に見ることによって、その表現特徴の一端について捉え、結果を発表した(『古典文学の常識を疑うⅡ』2019年)。また、平家にまつわる文芸テクストの展開の一様相を解明するための一助として、『平家物語』諸本に記される女人往生の言説を、人物・場面ごとに突き合わせられるようにしながら整理し報告した(『文献探究』58)。 加えて、『平家物語』応永書写延慶本をはじめ、『保元物語』の後出諸本、『太平記』諸本や、それらと同時代に成立した『三国伝記』に記される梓弓説話について、これまで梓弓説話を記す文芸テクストとして研究の俎上に上ってこなかった『直談因縁集』を基軸に、入間川の水害伝承を記す『発心集』『三国伝記』との関係を明らかにすることで、歴史事象を伝える営為と文芸テクストの言説展開との一様相を明らかにした。その結果は、近日公開予定である(『語文研究』129)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
『平家物語』の女性説話やお伽草子と題材を共通する諸文芸の中でも、特に地域に伝わる言説調査について、当初まとまった時間が確保し得る2月下旬~3月下旬に予定していた。だが、COVID-19の影響により都道府県境を越える調査出張が中止・延期となってしまったため、計画がやや遅れている。可能なところから着手していきたい。
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今後の研究の推進方策 |
COVID-19の影響により、現段階では都道府県境を越えた文献・実地調査などの研究活動が困難なため、当初予定していたよりも調査出張の回数が減ると思われる。そのため、まずは既に入手できている資料・史料の突き合わせ作業を先行して行いながら、本来遂行予定だった地方調査の可能な時期・地域を模索していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2月下旬~3月下旬に予定していた都道府県境を越える調査出張が、COVID-19の影響によりの中止・延期となってしまった。 COVID-19の流行状況をうかがいながら、地方調査の可能な時期・地域を模索していく。
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