研究課題/領域番号 |
19K13091
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研究機関 | 東北学院大学 |
研究代表者 |
城山 拓也 東北学院大学, 教養学部, 准教授 (60749109)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 葉浅予 / 漫画 / 中国 / メディア / プロパガンダ / 日中戦争 / 中国美術 |
研究実績の概要 |
2020年度は新型コロナウイルスの影響により、国外出張・国内出張ともに不可能となり、当初の目的であった資料収集、研究会の開催、およびインタビューを断念せざるを得なかった。代わりの方策として、(国内で手に入るもののみではあるが)資料の収集と整理、論文の執筆、および単著の執筆に力を注いだ。 資料収集と整理については、影印本の『抗戦時期画報資料選編』(国家図書館、2019年10月、全10册)を利用し、1930年代後半から40年代の中国漫画の実態を精査するとともに、葉浅予の動向について整理を進めた。特に、『今日中国』、『大地画報』といった雑誌から、貴重な資料を確認することができ、論文にも反映させることができている。以上を通じて、1930~50年代の葉浅予の創作の全体像を、ある程度はつかめてきたのではないかと思われる。 論文については、1930年代後半の葉浅予の創作を検討対象とした、単著「諷刺とユーモア――「小陳旅京記」と「留京外史」について」(『夜の華――中国モダニズム研究会論集』中国文庫、2021年3月、202-229頁、査読有)を発表した。また、前年度の研究報告(「日中戦争期における葉浅予の宣伝工作」)に基づき、日中戦争時期の葉浅予の創作について書いた論文を、研究誌『連環画研究』第20号に投稿した(掲載決定したものの、残念ながら新型コロナウイルスの影響を受け、刊行が遅れている)。 単著については、1920~30年代の葉浅予、および漫画について、モダニズムという枠組みから執筆を進めている。出版社との調整を行いながら、2022年度の刊行を目標として、完成を急いでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年度は2019年度に引き続き、国外・国内の図書館にて更なる資料収集を行い、なおかつ葉浅予の娘・葉明明氏へのインタビューを行う予定であった。しかしながら、新型コロナウイルスの影響により、資料収集という点について言えば、あまり研究が進展していない。 一方で、論文の執筆と発表、および単著の執筆を通じて、1930年代中国における漫画の状況、および葉浅予の創作に対する考察については、着実に成果が出てきたと言える。また、シンポジウムへの参加を通じて、主に1940~50年代の中国・中華圏の文化、芸術を対象とする研究について、最新の知見を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度もいまだ新型コロナウイルスの影響が止む気配はなく、国内外への出張が難しい状況となっている。特に、中国出張の実現は絶望的な状況のため、インタビューの実施、および国外研究者との研究交流も難しい。 したがって、2021年度も当初の予定を変更し、国内で手に入る資料に基づき、調査と考察を進めたいと考えている。また、今後の情勢を見極めつつ、オンラインによるセミナー開催、および研究発表の機会を伺いたい。 一方、単著の完成にも力を注ぎ、2022年度科研費・研究成果促進費の獲得を目指す予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は新型コロナウイルスの影響により、国外出張・国内出張ともに不可能となったため、主に旅費が余ってしまった。 2021年度は同じく新型コロナウイルスの情勢を見極めた上で、出張費、およびセミナー開催費にあてたいと考えている。
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