本研究ではシェイクスピアが座付き作者を務めた国王一座のレパートリーを少年俳優同士の横の繋がりに注目して再読した。『オセロー』を含む作品について、当時の舞台で女性を演じた少年俳優たちの疑似兄弟関係、上下関係、ライバル関係が舞台での女性表象にどのような影響を与えたのかを論じた。近年、少年俳優の徒弟としての立場に着目し、彼らが親方である成人俳優からどのような演技指導を受けていたかを考察する論考が増えているが、本研究では少年俳優は同じ親方の元で修行を積む年長者の徒弟や、元少年俳優の成人俳優からも多くを学んだことを明らかにし、少年俳優が役者としての経験を積んだ環境をより立体的に想像することを目指した。
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