研究課題/領域番号 |
19K13108
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
関口 洋平 首都大学東京, 人文科学研究科, 助教 (00837255)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 新自由主義 / メロドラマ / アメリカの家族 |
研究実績の概要 |
本年度は最近刊行された新自由主義、メロドラマ、アメリカ家族史に関する文献を読み進めるとともに、精力的に学会発表を行った。アメリカ史学会の年次大会(招待発表)においては、「『ヒルビリー・エレジー』における家族と新自由主義」という発表を行った。この発表ではトランプ政権の誕生を後押しした本として話題を呼んだJ.D.ヴァンスの『ヒルビリー・エレジー』を精読しつつ、それをアメリカ家族史と新自由主義の大きな流れのなかに位置付けた。この発表の成果は『人文学報』における紀要論文、「『ヒルビリー・エレジー』における家族の表象と新自由主義」として刊行した。 また、2019年9月にボストン大学図書館のハワード・ゴトリーブ・アーカイブセンターで現代ハードボイルド小説の代表的な作家であるロバート・B・パーカーに関する文献調査を行った。また、同時に、本プロジェクトで扱う『ミセス・ダウト』に主演しているロビン・ウィリアムズに関しても文献調査を行った。前者に関しては、作家の消費主義に対するスタンスを考察するにあたって興味深い文献が数多く見つかり、非常に有意義であった。その成果は首都大学東京・都立大学英文学会において「ハードボイルドな消費者―メークオーヴァー・ナラティブとしての『初秋』とロバート・B・パーカーの日本における受容」として発表し、消費主義とアメリカ文化の関係を考察するにあたり有益なフィードバックを得ることができた。 また、American Studies Association Annual Meetingにおいては“Jazz and Japanese Post-war Democracy: A Critique of American Democracy in Out of This World.”という発表を行い、フィルム・スタディーズの見地から有益なフィードバックを得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究はおおむね予定通りに進めることができた。特に、先に述べたボストン大学図書館のハワード・ゴトリーブ・アーカイブセンターにおける文献調査は有意義なものとなった。ロバート・B・パーカーに関する調査は学会発表の形で年度内にアウトプットすることができたが、ロビン・ウィリアムズに関する調査は年度内にアウトプットすることができなかったので、次年度以降の課題としたい。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度の研究は、コロナウイルスの感染予防の関係で、予定とは大幅に異なったものになることが予想される。6月に予定されていた台湾におけるアメリカ・アジア学会と、北海道におけるアメリカ学会は既にキャンセルされた。特に後者の学会ではレイモンド・カーヴァーの短編小説における動物の表象と新自由主義、家族等を考察する発表を計画していたため、これは他の形で世に問うことができればと考えている。 また、2020年度に予定していたアメリカにおける文献調査も、この状況のなかでは予定通りに行うことは難しいと考えられる。現地で調査を行うのではなく、オンラインで調査を進められる可能性がないか、アーカイブ・センターの関係者と連絡を取りながら検討していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度はノートパソコンの購入を見送ったため、余剰金が生じた。この余剰金と2020年度の予算をあわせてノートパソコンを購入する予定である。
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