研究課題/領域番号 |
19K13108
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研究機関 | フェリス女学院大学 |
研究代表者 |
関口 洋平 フェリス女学院大学, 文学部, 助教 (00837255)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 育児 / 新自由主義 / 父親 / メロドラマ / アメリカの家族 |
研究実績の概要 |
本年度はコロナウイルスの影響で、もともと予定していた研究計画の変更を余儀なくされた。予定していた学会発表が二件中止になり、研究者のフィードバックを受ける機会が失われた。また、アメリカに渡航して大学図書館で本プロジェクトで扱う作家たちについてアーカイブ調査をする予定だったのだが、それも不可能となってしまった。 以上のような事情があり、本年度は主に日本での文献調査・執筆に専念した。研究はおおむね順調に進んでおり、出版社から新書を出版する契約を締結することができた。いままで取り組んできた育児を担う父親のアメリカ文化における表象だけでなく、いわゆる「イクメン」と呼ばれる父親像が日本文化のなかでどのように描かれているかをあわせて考察する予定である。本書に関してはまだ書き始めた段階であるが、来年秋の出版を目指して執筆をつづけている。 また、アメリカの映画研究雑誌のなかでも定評のあるNew Review of Film and Television Studiesに論文を投稿しており、二度の査読を経て、現在最終の書き直しを進めている段階である。本論文ではハリウッド映画における育児を担う父親の表象をメロドラマという美学的な要素と新自由主義という社会背景のもとで分析しており、本プロジェクトの内容を凝縮したような論文となる予定である。 全体としては、コロナウイルスの影響を受けてもともとのプランを大幅に変更したものの、プロジェクト自体は順調に進んでいると言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記に記したとおり、以前の計画からは変更を余儀なくされたものの、研究成果のアウトプットに向けて準備を進めている。現在第一章を執筆中の単著は本プロジェクト全体を総括したものになる予定であり、多様な層の読者に読んでもらうことを目指している。来年秋の刊行を目指し、現在は第二章以降の下調べに取り掛かっている。
New Review of Film and Television Studiesに投稿中の論文"Father Feels Best: Kramer vs. Kramer and Neoliberal Melodrama of the Nurturing Father"に関しては、より議論の幅を広げるために、扱う映画や時代の枠を拡大するとともに、論文中における新自由主義の位置づけを再考し、書き直しているところである。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、引き続き海外渡航が困難である状況が続くことが予想されるため、アメリカにおけるアーカイブ調査は基本的には断念し、いままでの研究成果をアウトプットすることに集中する予定である。また、2021年のアメリカ学会でアメリカ家族研究のスペシャリストたちと一緒に学会発表を予定しており、そちらの準備を進めている。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルスの影響で海外渡航が不可能になり、国内の学会もほとんど中止となったため、旅費の支出がなくなった。次年度は、主に書籍などを購入して研究を進める予定である。
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