| 研究課題/領域番号 |
19K13109
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| 研究機関 | 神戸市外国語大学 |
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研究代表者 |
衣川 将介 神戸市外国語大学, 外国語学部, 准教授 (10779424)
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| 研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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| キーワード | detective fiction / wordplay / race / gender / feminism |
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| 研究実績の概要 |
本研究の目的は英米探偵小説における隠れた言葉遊びの役割を明らかにすることである。この役割の解明は三つの視点からの分析を通して行われる。まず英米探偵小説に定番の趣向として知られる「フェアプレイ」と呼ばれる技法における言葉遊びの使用法の把握。次に人種問題を描くツールとしての言葉遊びの役割の把握。そしてフェミニスト探偵小説における家父長制批判の手段としての言葉遊びの役割の把握である。本研究は隠れた言葉遊びが様々な英米探偵小説の中で重要な役割を担っていることを示すことで、英米探偵小説の新たな形式面での特徴を提示する。
上記目的のために２０２０－２０２１年度に行った研究成果の概要は以下の通りである：
１）資料の収集と精査：Charles Willeford のフィクションとノンフィクション及びWilleford に関する研究書の一部を収集し、内容の精査を開始した。同時に、Mark Twain研究の関連資料も一部収集し、内容の精査をはじめた。WillefordとTwain両方の作品研究に関わる米国における人種問題の諸相と歴史に関する資料の一部収集も行った。さらに、2019－2020年度に主たる資料収集を行ったAgatha Christie 並びに探偵小説関連の資料も追加で収集した。また、フェミニズム及びジェンダー・セクシュアリティー関連の資料収集にも着手した。
２）収集したWilleford関連資料と人種問題に関する資料を参照枠に、Willefordの Pick-upにおける人種問題の表象と言葉遊びの関連性の分析を開始した。その過程において、小説における絵画のモチーフが重要な役割を担っていることがわかってきたことが、Pick-upの解読という点においては最大の成果である。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画では、Willefordに関する研究資料と米国における人種問題に関する研究資料を収集した上で、Pick-upにおける人種問題の表象と言葉遊びの関連性の分析を行う予定であった。同時に、Twainに関する研究資料も収集し、小説Pudd’nhead Wilsonにおける人種問題の表象と言葉遊びの関連性の分析にも着手する予定であった。資料収集については概ね遂行できてはいるものの、コロナ禍の影響で海外からの資料がやや遅れた。研究書の大半が海外からの取り寄せであるため、資料到着の遅れがTwainの作品分析の若干の遅延に繋がっている。作品の分析については、現在Willefordの著作物における絵画への言及やモダン・アートの研究を参照しつつ、Pick-upにおける人種問題、言葉遊び、そして絵画の関連性を引き続き検討している段階である。同時に、Pudd’nhead Wilsonの研究についても、Twainの他作品における人種問題や人種表象との比較を進めている。2019－2020年度に着手したAgatha Christieの研究に関しても、小説Cards on the Tableを中心に分析を進めている。
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| 今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策は下記の通りである：
１）Willefordの著作物、人種問題に関する資料、モダン・アートに関する研究の精査を進めた上で、Pick-up研究を論文ドラフトにまとめる作業に着手する。
２）Pudd’nhead Wilson に関する先行研究並びに人種問題に関する資料の精査を進めた上で、Pudd’nhead Wilson研究を論文ドラフトにまとめる作業に着手する。
３）サラ・パレツキーの著作物、探偵小説関連の資料、フェミニズム関連の資料、ジェンダー・セクシュアリティー関連資料の収集に着手する。資料の収集が進み次第、パレツキーを中心としたフェミニスト探偵小説における言葉遊びの使用法に関する分析を開始し、その成果を論文ドラフトにまとめる作業に着手する。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
未使用額が発生した状況：予定より安価に図書が購入できたため。
次年度における未使用額の使途内容: 図書の購入に使用する。
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