研究実績の概要 |
2022年度は、アメリカのジャズ文学作品の研究を進めた。その成果の一部を論文とし、"African American Migration Narratives of the Harlem Renaissance: Jazz as Symbol of Racial Uplift, 'Low-down' Migrants, and Black Feminism" というタイトルで、アメリカ学会の学会誌であるThe Japanese Journal of American Studiesに投稿した。本論文では、1920年代のハーレム・ルネサンス期におけるアフリカ系アメリカ人知識人や作家たち(Alain Locke, Langston Hughes, Sterling Brown, Nella Larsen, Zora Neale Hurston)が、それぞれに異なる階級およびジェンダーの意識とともにジャズを描き出していることを論じた。
『「いま」を考えるアメリカ史』では、ポピュラー・ミュージック歌手であるテイラー・スウィフトについて、メディアおよびフェミニズムの観点から分析する章を執筆する機会をいただいた。章を執筆することで、ジャズとフェミニズムの問題についてより深く考える機会を得ることができた。
学会誌への論文投稿に加え、2022年度は文芸誌『文學界』11月号に「ジャズとアフリカ系アメリカ人文学」という論考を掲載していただいた。本論考では、1920年代から50年代までのアフリカ系アメリカ人によるジャズ文学の系譜をまとめるとともに、黒人女性作家によるジャズ文学の特色についても紹介した。さらに『文學界』では、ジャズ歌手のビリー・ホリデイが登場する短篇、ジュエル・ゴメスによる「ドント・エクスプレイン」(岸本佐知子さんによるご翻訳)の作品解説を執筆する機会もいただいた。
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