研究課題/領域番号 |
19K13119
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 神戸大学 (2023) 立教大学 (2019-2022) |
研究代表者 |
中村 麻美 神戸大学, 国際文化学研究科, 講師 (80827709)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | サイエンス・フィクション / スペキュラティブ・フィクション / ノスタルジア / 記憶 / ジェンダー / セクシュアリティ / ユートピア / ディストピア |
研究成果の概要 |
本研究は二十世紀後半以降の英語圏ディストピア文学ないしSFにおけるノスタルジアの政治性を、特にジェンダー・セクシュアリティの視点から考察・分析するものである。ディストピア文学は個人を独立した自律的存在でなく、社会システムの所産として描き出しながら、現実社会を異化する。ここで、社会的想像力を描くディストピア文学におけるノスタルジアは、個人の感情にとどまらず、政治的意味合いをまとう。本研究はノスタルジアの主体の多様性に着目することで①マイノリティによる過去の修復的再想像の術としてのノスタルジア、そして②伝統的性役割の復興や、原始的自然へ回帰といった思想を強化する情動としてのノスタルジアを解明した。
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自由記述の分野 |
英語圏文学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ノスタルジアとは自身が「ホーム」と名指す場所、ひいては過去を切望する情動を示す。ここで、ディストピア文学が「ユートピア的」とされる所以の一つに、多くの作品において、過去を切望し理想化するノスタルジアが、非理想的な未来への不安と対置されていることが挙げられる。「いま・ここ」を拒否、あるいは迂回するノスタルジアに注目することで、社会批判のレトリックを多角的に読解する術を提示することができたと考える。
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