研究課題/領域番号 |
19K13121
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研究機関 | 仁愛大学 |
研究代表者 |
柿本 真代 仁愛大学, 人間生活学部, 講師 (40759081)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 昔話 / 翻訳 / 絵本 |
研究実績の概要 |
本研究では、日本における昔話の伝承や絵本が英米の絵本やアニメーションの流入によってどのように変容し、今日に至ったのかという歴史的経緯を解明することを目的に、児童文学や昔話などの個々の作品が、どのように翻訳・絵本化され、また評価されてきたのかを検討する。 初年度である2019年度は、日本における外国昔話の受容について調査・研究を行った。まず「白雪姫」を中心に、グリム童話の翻訳・絵本史に関する調査として、大阪府立中央図書館国際児童文学館や国際こども図書館において明治期から2000年代に至るまでの白雪姫絵本の収集を行った。また、ディズニー映画『白雪姫と七人の小人』公開時のパンフレット等も古書店等で収集した。 一方、調査・収集の過程で、これまでの研究史ではほぼ看過されてきた明治期のキリスト教伝道用冊子が、19世紀にイギリスやアメリカでよく読まれた子ども向け聖書物語の翻訳であったことも明らかになった。そのため、2019年度は日本における子ども向け聖書物語の受容について整理を行い、特に19世紀の受容について、当時翻訳に関わった宣教師の書簡や日本の出版関係者の資料等の分析を行い、翻訳・受容の過程を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度は、研究の基盤を構築するため基礎的資料の収集のため年度末にアメリカでの調査を行う予定であったが、新型コロナウイルスの影響により海外調査を実施することができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は当初の計画ではアメリカでの昔話絵本に関する調査を続ける予定であったが現状では難しいため、日本での昔話絵本『日本児童文学』『国民教育』『キネマ旬報』など複数の雑誌の言説を分析することで、図書館員、教育者や映画関係者など、様々な立場からの評価とその変遷を明らかにするとともに、②で分析した日本でのディズニー絵本の内容や出版点数と評価の関係についても照らし合わせる。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響で海外での調査に行けず資料を収集できなかったため、旅費・翻訳に関わる人件費の支出がなかったことが主な要因である。 今回使用しなかった費用については、次年度以降の旅費・人件費に充当することとする。
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