研究課題/領域番号 |
19K13122
|
研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
千葉 洋平 中京大学, 国際学部, 講師 (30802821)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 文学批評 / プロパガンダ / aesthetic / 教授法 / 新批評 |
研究実績の概要 |
当該年度は主に昨年度のアーカイブ調査で得られた資料を精査する作業を行い、そこでの発見を学会にて発表することを計画していた。しかしながら昨年度からのコロナウィルスの蔓延の影響から、アーカイブ調査が上手く進まなかったため、肝心のKenneth BurkeとI.A. Richardsの接点をうまく結ぶには至らなかった。また多くの学会が開催予定を延期したことにより、現段階での成果を発表する機会が少なかった。以上のような制限により昨年度の報告書に示した代替計画を実行した。当初の計画では21年度に行うはずだった二次資料を使った研究を以下の2つの点で進めた。 1. 文学研究と言語教育の関連性をまとめる作業を行い、より広い範囲の流れの中にBurkeとRichardsを位置付けられるようにした。 2. 彼らの考えが、現在私たちが抱える問題を理解する上でどのような意義があるのかを検討した。 1. 2. について具体的には次のようにまとめられる。彼らの言語・批評への関心は、第二次世界大戦から冷戦に至るまでの社会的情勢を深く意識したものであり、教育的でありつつ実践的でもある。中心にある課題は、情報が錯綜する状況において、市民が個々の視点から世界を読み解いていく方法を組織することと言えるだろう。この課題は1930年代のアメリカ合衆国において「民主主義」のあり方が様々な学術分野を通して見なされた時期に呼応するものであり、また戦後において「封じ込めの文化」によって抑圧されてしまった知的傾向・社会プロジェクトの1つと言えるだろう。この抑圧された部分を回復することによって、本研究対象の2人は、文学批評史や言語教育史を再構築するのに十分な可能性をもっているはずである。また彼らの言語への視座は、現在のアメリカ文学が示唆する社会問題をうまく照射することが可能であり、私たちの認識のあり方に深く貢献できるはずである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
1. 昨年度に引き続き予め計画をしていた国内外での研究調査が、コロナウィルス蔓延により実施することができなかった。 2. オンラインを通じていくつかの学会や国際会議に参加できたものの、海外で発表予定であった学会がキャンセルとなり、望ましい結果にはならなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
昨年度は大幅な研究計画の変更を余儀なくされたため、以下の通り研究を進めていく。
1. 2020年度に延期となった学会に参加し、現時点での成果を積極的に発表し、発展させていく。 2. 春季までにアーカイブ調査を行う。(主にコロンビア大学、プリンストン大学、ロックフェラー財団) 3. Burke と Richardsの思想を教育法に活かせるようなプログラムの構築する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
国内外への研究調査が不可能となり、大幅な旅費による支出が減ったため差額が生じた。当該年度においては、まだ未着手の調査を行うための資金として活用する。
|