資本主義の発展は、人間の身体やジェンダー/セクシュアリティのありかたにどのような影響を与えるのか。そのような問題意識が、二十世紀前半に書かれた多くのアメリカ文学作品に通底している、という仮説のもとに、本研究はフィッツジェラルドやヘンリー・ジェイムズといった代表的なリアリズム・モダニズム作家の小説を検証した。研究を通してその仮説の妥当性が確認されただけではなく、重要なアメリカ文学作品において、内面と外面、過去と現在(と未来)、プライヴェートとパブリックな領域、倫理性とユーモア、イメージと(表象不可能な)現実、といった様々な対立を構成する動的な「境界面」として身体が描かれていることを明らかにした。
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