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2022 年度 実施状況報告書

18/19世紀転換期ドイツ語圏文学におけるアマゾネスの表象

研究課題

研究課題/領域番号 19K13138
研究機関東京大学

研究代表者

速水 淑子  東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (70826099)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワードジェンダー / 女性戦士 / 植民地言説と女性像 / 「混血」女性の表象
研究実績の概要

本年度は、以下の二点について研究を進めた。

第一に、昨年度から引き続き「戦う女性」を扱った作品として、ハインリヒ・フォン・クライスト『聖ドミンゴ島の婚約』の分析を行った。研究の過程で、作品の舞台となったハイチ革命が、ヨーロッパ公共圏に与えた影響について検討する必要が生じ、文献調査を進めた。2022年度の段階では、当時は植民地を持たなかったドイツ語圏においても、仏との対抗関係から、ハイチ革命の動向が雑誌等を通じてリアルタイムで報道されていたこと、ハイチ革命というテーマが、第一に暴動・革命・戦争を論じる文脈で、第二に肌の色とセクシュアリティ・性格の関連を論じる文脈で特に論じられていたことがわかった。その際、「白人/黒人」二元論に収まらないテーマとして「混血」をめぐる議論が盛んになされていたこともわかった。成果は2023年6月のシンポジウムで発表予定である。

第二に、昨年度に引き続き、性・欲望・秩序の関連への関心から派生したトーマス・マン『ヴェニスに死す』に関する論文の仕上げ作業を進めた。成果は、論文 Ein >um 20 Jahre vorweggenommene[r];Nationalsozialismus<? Nietzsche-Rezeption im Tod in Venedig und ihre Entwicklung in den dreissiger Jahren(20 年前に先取りされた『国民社会主義』」?――『ヴェニスに死す』におけるニーチェ受容と1930 年代におけるその展開)として、 Honold, Klawitter (Hg.),Thomas Mann, Der Tod in Venedig und die Grenzgaenge des Erzaehlensに所収され、スイスの出版社Schwabeから2023年6月に刊行される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

COVID-19感染拡大の影響による研究の遅れにより研究期間を延長した一年目にあたり、研究支援期間四年目にあたる。本年度は本来これまでの成果のとりまとめを行う予定であった。しかし、感染症の流行によって予定していた海外での調査(特に女性戦士の視覚イメージに関する調査)が実施できなかったこと、所属機関の変更に伴い、一時的にエフォート率確保が難しくなったことにより、計画に遅れが生じた。一方で、国内における文献調査を通じて、19世紀初頭ドイツ語圏におけるハイチ革命受容という新しい課題に出会い、同時期の文学作品における女性戦士像と、植民地言説との関連という新たな視点を得た。

今後の研究の推進方策

クライスト『聖ドミンゴ島の婚約』における戦う女性像を検討する過程で、19世紀初頭ドイツ語圏におけるハイチ革命受容という新たな課題に取り組む必要が生じた。2023年度はこの課題の文献調査を進めるとともに、当時の言説の中に文学作品における戦う女性像を位置づけ、論文にまとめたい。また、延期していた海外調査を実施し、関連文献の収集を行うとともに、女性戦士像の視覚イメージについても知見を得る。

次年度使用額が生じた理由

COVOD-19感染状況により、予定していたヨーロッパでの調査ができなかった。次年度は、調査渡航と文献収集のために残額を使用する。

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公開日: 2023-12-25  

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