研究課題/領域番号 |
19K13143
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研究機関 | 白百合女子大学 |
研究代表者 |
村中 由美子 白百合女子大学, 文学部, 准教授 (40791174)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ジェンダー / 戦間期フランス文学 / 20世紀フランス文学 / マルグリット・ユルスナール / クロード・カーアン / アゴタ・クリストフ |
研究実績の概要 |
本研究は、戦間期フランス文学におけるジェンダー観のゆらぎを分析することで、新たなジェンダー観を提示しようとする試みである。2020年度で研究期間の前半が終了するため、コーパスを確定し、読み込むことを予定していたが、新型コロナウィルスの問題で思うように研究は進んでいない。 当初、マルグリット・ユルスナール、クロード・カーアン、ヴァージニア・ウルフをおもな研究対象としていたが、それに加えて、ハンガリー出身でフランス語にて執筆をした作家、アゴタ・クリストフもコーパスに加えることを考えている。フランス語が母語ではないことに由来する特殊な自己認識や自己規定が、ジェンダー観にもあらわれているのではないかと考えられるためである。アゴタ・クリストフを研究対象に加えることで、フランス語圏文学に焦点を絞り、より精緻な考察ができるのではないかとも考えられる。とくに、アゴタ・クリストフの小説『悪道日記』(1986)は、戦間期を描いているわけではなく、戦後の冷戦下におけるハンガリー動乱を時代背景としているが、非常時における人間のふるまいや、そういった状況下でのジェンダー観を分析することで、本研究が考察の中心とする戦間期の理解にも資する点があるのではないかと考えている。 アゴタ・クリストフをコーパスに加えることで、本研究は「戦間期フランス文学」に限定されないものとなるが、あくまでも戦間期に軸を置くことで、研究としての整合性を保つよう留意する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウィルスの問題で、2020年度は研究の時間を捻出することが極めて困難だったため。
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今後の研究の推進方策 |
先述したとおり、コーパスの一部を変更するため(ヴァージニア・ウルフは参考程度にし、アゴタ・クリストフを追加する)、あらためてこの作家も含めたジェンダーに関する近年の先行研究を調査しながら、文献を読み進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
フランスで行なう予定だった文献調査を2020年度はまったく行なえなかったために旅費を一切使用しておらず、次年度使用額が生じた。 2021年度は、新型コロナウィルスの問題が収束しだい、フランスでの文献調査を行なったり、海外の学会に参加したりして情報収集や研究者のネットワークづくりに努めたい。
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