研究課題/領域番号 |
19K13148
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研究機関 | 山梨県立大学 |
研究代表者 |
大村 梓 山梨県立大学, 国際政策学部, 准教授 (50639177)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 堀口大學 / 翻訳 / 詩歌 / 日本近代詩 / フランス近代詩 / モダニズム詩 / モダニズム文学 |
研究実績の概要 |
2023年1月にかねてから準備していた学術書(『異国情緒としての堀口大學-翻訳と詩歌に現れる異国性の行方』)を無事に出版することができた。本書は西洋の仲介者としての役割を超えて、より深く堀口の大正・昭和期の創作活動を学術的に検証しようと試みたものである。本書の全体を通して、これまで別々に語られることが多かった堀口の創作活動と翻訳活動の相関関係に目を配りながら、堀口の詩歌や随筆が翻訳に与えた影響(文体、繰り返し用いられる単語、テーマ性など)を明らかにした。本書で日本におけるフランス近代詩の受容と日本近代詩とフランス近代詩をめぐる議論について新しい視座を提供できたと考える。 また2023年3月にはフランス・オランダにて現地調査を行い、ストラスブール大学にて講演「Poesie et autres formes artistiques - de la poesie japonaise moderne a Saihate Tahi(詩と芸術:日本近代詩から最果タヒまで)」を行った。当初は現地に赴いて講演を行う予定であったが、ストライキのために急遽オンラインで行うこととなった。この講演は日本近代詩におけるフランス近代詩の影響を受けた実験的な試みから、現代詩(最果タヒ)までの流れについて論じたものである。現地の研究者と活発な議論が交わされ、今後も日仏近代詩の影響関係における、特に実験的手法について調査を進めたいと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
かねてから出版準備をしていた学術書をようやく1月に出版することができた。それによってこれまでの研究の成果を社会に対して広く発表する機会を得ることができた。また3月にようやくフランス・オランダにて現地調査を行うことができたため、研究資料の収集・調査、現地の研究者との打ち合わせができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は国内外の調査で得られた結果を英語の論文として発表することを目指し、論文執筆に励みたいと考える。また堀口が日本文壇に紹介したフランス近代詩の理論について、より体系的に整理・分析したいと考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスを巡る社会状況のために、当初の計画通りに研究を進めることができなかったためである。今年度は状況を見ながら、資料の購入等を進めるとともにフランスでの現地調査を含め、国内外で積極的に研究発表を行いたいと考える。
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