研究課題/領域番号 |
19K13149
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研究機関 | 実践女子大学 |
研究代表者 |
白戸 満喜子 実践女子大学, 研究推進機構, 研究員 (50814042)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 非破壊検査 / 料紙 / 料紙観察 / 和紙 / 紙の原料 / 植物繊維 / 紙原料の比較 |
研究実績の概要 |
本研究では、主として印刷・出版物に使用された紙の料紙について、1.紙の原料となる植物繊維、2.印刷適性などの機能を向上させるために添加された填料、3.紙質向上や装飾のために施された加工の3点を明らかにする料紙観察という方法について、2020年度は以下の調査研究を実施した。 1:天平12(740)年に作成されたとされる「四分律蔵経」から大正期までの写経用紙や未加工の和紙の切片を収載している『古紙之鑑』(関義城 昭和52年 木耳社)および顕微鏡モード付のデジタルカメラ(RICOH WG-70)を入手した。 2:2019年度に購入済みの『古今和紙譜』収載の切片料紙と『古紙之鑑』の双方を料紙観察対象とし、実践女子大学設置の高精度光学顕微鏡(VHX-7000 キーエンス社)と上記デジタルカメラによって、それぞれの収載資料の調査を実施した。 3:高精度光学顕微鏡とデジタルカメラで撮影したデータとの比較調査を行った。 2020年度は本研究の主たる課題である「汎用的手法」について、上記1に示したデジタルカメラにより試行した。調査結果からは1.紙の原料となる植物繊維の形状観察はデジタルカメラでも支障がないこと、2.高精度光学顕微鏡とデジタルカメラにおける観察の相違点、という2点についてまとめることができた。入門的な料紙観察の調査研究方法についてはweb連載(文学通信)において公開した。『古今和紙譜』と『古紙之鑑』の収載資料が大量であるため、2021年度も引き続き調査を継続していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の影響により、高精度光学顕微鏡(VHX-7000 キーエンス社)が設置されている実践女子大学への入校制限あるいは自粛により、調査機会が当初予定よりも少なくなっているため。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は最終年度であるため、これまで実施できなかった 1.ノートパソコン接続USBマイクロスコープ 2.スマートフォンなどのカメラ機能を利用したマイクロスコープ という他の機器での調査を積極的に行い、各種機器で撮影したデータの比較を進めて、調査結果を発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19による外出・移動制限や自粛により、調査出張ができなかったために次年度使用が生じた。次年度使用分については調査対象となる資料購入に充当する予定である。
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