実用性よりも規範性を重視する国文法は世間一般で敬遠されがちであるが、本研究を通して、国語学者による着眼と知見の妥当性が立証できた。一見無関係に見える複数の文法現象が、根底に存在する一般的な性質から導き出されることを明らかにした点は、国語学と理論言語学との接点に対する実証的な具現化だと言える。例として、副助詞と格助詞という分類を踏襲しつつも、それらが持つ特性を談話効果や情報構造の観点から見直すことができた。伝統的に高く評価されてきた先行研究を、理論言語学の立場から再検証することの学術的意義はもとより、本研究によって学校における国語教育を再評価する契機となれば、社会的にも意義深いと考えられる。
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