研究課題/領域番号 |
19K13159
|
研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
菅谷 友亮 三重大学, 教養教育院, 特任講師(教育担当) (50826625)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 視線計測 / 形容詞 / 産出プロセス / 心の理論 / 相互主観性 |
研究実績の概要 |
今年度は、視線計測研究を行うための設備を整えた後、実際に心理言語学実験をデザインし参加者を募って実験(パイロット)を行った。研究成果は、2件の査読付き国際学会 (ICLC, YRCL) での発表と1件の査読付き国内学会 (JCSS) での発表という形で社会に発信した。今年度の助成金は主に、以上の研究報告のための旅費に加え、視線計測器(アイトラッカー)本体の購入やプレゼンターやアナライザー等の必要なソフトウェア、周辺機器、更には視線計測研究に関わる文献の購入に充てられた。
申請者は人の視線を計測する研究を今年度から開始した。したがって、必要な設備の準備から、実験デザイン、被験者募集、実験実施、データ収集、統計処理までの一連のプロセスを確立し、これから残りの研究期間含め今後長期に渡って視線計測研究を行うための手法や方法について基盤固めすることが最大の目的であった。例えば具体的に、AdobeのIllustrator等を利用して視覚刺激を作ること、刺激呈示を操作し実験を構成すること、さらに、RやSPSSを使ってデータの統計処理を行うことに関する手法を獲得した。その結果、万全とは言えぬも、今後の様々な視線計測の実験デザインに対応する準備がしっかりと整えられた。
実践的に、幾つかのパイロット実験を作成し実施を試みた。成功した実験としては、形容詞(大きい、高い、楽しい等)の産出時に於いて「相互主観性」が有意に関わることを視線の動きにより実証する実験である。これは報告者自身の視線計測ではない別の研究で既に証明されていたことではあったが、この実験により更なる確証を得る結果となった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度は、残りの研究期間含め今後長期に渡り視線計測研究を持続して実施していく為の基盤構築が最大の目的であった。非常にテクニカルな部分が多く苦労したが、その目的は概ね達成したと言える。しかし、実験作成においては失敗の連続であり、パイロット実験を数多く作成し実施したが、思うような結果が得られず多くの実験を捨て去った。現実的なデータを扱うという理論研究にはない実証研究ならではの難しさに直面する結果となった。したがって、当初の計画またはそれ以上に進展しているとは到底言えない。
|
今後の研究の推進方策 |
現在、新型コロナウイルスの感染拡大により、人と人との接触(不要不急の外出)を控える要請があり、それにより本研究では被験者を募集できないという深刻な問題を抱えており、更にそれが長期化するということが見込まれている。社会状況を見極めつつ、暫く視線計測研究は休止し(様々な実験デザインや方法論の改良は引き続き行う)、オンライン上で可能な本研究課題に関連する実験を行う予定である。Inquisitという実験作成ソフトのplatformを利用すれば、視線データは得られないが視覚刺激呈示による実験が国内外で可能である。本研究は最終年度に言語文化比較(日本語と英語)を考えており、状況が回復した後にその研究課題をスムーズに実行できると想定する。
|