研究課題/領域番号 |
19K13163
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研究機関 | 神戸市外国語大学 |
研究代表者 |
角 悠介 神戸市外国語大学, 外国学研究所, 客員研究員 (50837341)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 調査地選定 |
研究実績の概要 |
研究実施計画に基づき、初年度前期は調査地の選定を行う。調査地は交通の利便性並びに統計によるロマ人口の多さから、ベラルーシ共和国の首都ミンスクを中心に調査をすることを決定する。ミンスクは地理的にもベラルーシの中心に位置することから、調査対象となるであろう方言を隣国で話される方言と区別しやすい可能性がある。
7月にベラルーシに赴き、近年のベラルーシのロマに関する近年のネット記事や動画を探し研究協力を依頼できそうな存命の専門家やロマを探し出し、関連団体や大学に直接連絡をして事情を説明し面会を願う。内、ベラルーシで2013年~2016年に行われたロマに関する社会学的調査Roma Integrationプロジェクトの提案者であり、ベラルーシの近年のロマに関して最も豊富な情報を持っているベラルーシ科学アカデミー哲学院Center for Study of Globalization and Socio-cultural Cooperationの社会学者Nataliya Kutuzova女史と面会する。こちらの研究目的を説明し、当時の調査で中心的な役割を果たしたベラルーシ国立文化センターにてロマ学の専門家として勤務する「バロン(ソ連圏の有力者のロマ男性を指す語)」Artur Gomonov氏を紹介してもらう。Gomonov氏に面会し、調査対象の当たりをつけるためにミンスク近郊のロマについてのインタビューを行い、今後の具体的な調査研究におけるサポートを依頼する。同時に、ミンスクに暮らすロマの中でも特に古いロマ一族の末裔と知り合い、調査協力を依頼、ロマニ語によるインタビューを行い、言語資料(コーパス)を取得。
また、首都の国立図書館にあるベラルーシのロマやロマニ語に関する書籍は概ねコピーして手に入れることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画によると、初年度前期に調査地の選定、後期に本格的調査を開始する予定であったが、現地の研究協力者の都合などにより第一回目の渡航は夏期となった。2月~3月ごろに二回目の渡航を予定していたが、「新型コロナウィルス」の影響で渡航を見合わせざるを得なかった。しかしながら、一回の渡航で重要な専門家のサポートを取り付け、かつ、ミンスクに住むロマの中でも特に古いロマ一族の末裔と知り合い調査協力を依頼できたことは大きく、2回の渡航で予定していた1.調査地の選定、2.本格的調査の開始、を概ね成し遂げたと言える。
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今後の研究の推進方策 |
2020年春現在、「新型コロナウィルス」による影響で次回の渡航予定が全く立たず、今後の現地調査に大きな支障が出ることが予想される。このため、図書館で入手したロマ関係書籍、前回の渡航で手に入れたいくつかの言語資料(コーパス)の分析など、現地での直接調査のめどが立つまで、しばらくは日本で出来る分析を行うこととする。今後渡航が実現しない場合、調査の質は大きく劣ってしまうが、現地の研究協力者にコーパス収集のためのインタビューを代理で行ってもらう選択肢も用意しておく。
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次年度使用額が生じた理由 |
現地調査のため2回渡航することを計画していたが、「新型コロナウィルス」の影響により2回目の渡航を中止したために次年度使用額が生じた。現時点では日本・欧州における「新型ウィルス」に伴う非常事態の影響で先が見通せないが、渡航が可能になった場合は次年度使用額を用い渡航回数や滞在期間を延ばすこととする。
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