研究課題/領域番号 |
19K13166
|
研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
横江 百合子 上智大学, 言語科学研究科, 研究員 (60823341)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 調音運動 / 子音連続 / 知覚錯誤 / 事象関連電位 / 音韻制約 / 聴覚表示 / 音声知覚 / 非母語音声 |
研究実績の概要 |
本研究では、母語に存在しない音声が、ヒトの脳内でどのように処理されるかという疑問に答えるため、行動実験・脳波実験・調音時の声道の動きの3つの視点を包括的に評価する。それぞれの実験は直接的な比較対象が可能となるよう配慮して計画されており、音声知覚モデルに関する新たな証拠を提供して理論に貢献することを目指す。 本研究には4つの目的がある。第一に、EMA(磁気センサ式調音運動計測システム)を用いて、子音連続の生成における調音運動の実態を広く明らかにすることである。第二に、母語にない音の知覚メカニズムにおいて、母語の言語知識による干渉として説明されてきた現象を取り上げ、その説明が妥当性を欠くことを明示するとともに、他の要因による説明の可能性について検討することである。第三に、母語に存在しない音声にも、音響情報に忠実な表示が存在するかどうか検証を進めることである。そして第四に、日本語母語話者の音声知覚処理における音節の役割について議論することである。 本年度は、予備実験として、日本語母語話者を対象とした音声知覚実験を遂行し、その結果を国際学会にて発表して多くの有用なフィードバックを得た。特に、母語において文法的に不適格な子音連続の修正処理において、文法知識によるトップダウン型の操作が行われず、刺激の音響的・物理的特性に即した知覚パタンが見られる点については、先行研究とは一線を画す証拠を提供することができたといえる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予期せぬ感染症の流行に伴い、実験参加を依頼する外国人学生が確保できない状況が続いており、実験の進捗に遅れが生じている。また、防音室(密室)での実験がどのタイミングで実施可能となるか不透明な状況にある。
|
今後の研究の推進方策 |
研究計画書の記載の実験計画に従い、第5実験まで進めることを目標に、感染症対策の徹底を図りつつ研究遂行する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
国際学会参加のための費用が当初見込よりも少額で済んだことと、年度末に予定していた産出実験が新型感染症の余波を受けて実施できなかったことが、次年度使用額が生じた理由である。社会情勢にもよるが、2020年度中に遅延分の実験が実施できれば、問題なく支出されるものと考えられる。
|