研究課題/領域番号 |
19K13166
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研究機関 | 東洋学園大学 |
研究代表者 |
横江 百合子 東洋学園大学, グローバル・コミュニケーション学部, 専任講師 (60823341)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 子音連続 / 音声知覚 / 知覚錯誤 |
研究実績の概要 |
母語に存在しない子音連続を用いた音声知覚実験の研究成果について、米国University of Washington(ワシントン大学)の招聘により講演を行った。個別言語の音韻制約による知覚干渉として従来広く認知されてきた調音点錯誤現象について、実際にはそのような分析はあたらないことを確認し、今後に向けた建設的な議論を発展させることができた。 特に、本プロジェクトの実験においては、ロシア語・ヘブライ語のネイティブ話者の自然発話を素材として用いているが、今後、人工音声を使用した実験を行うことの意義について検討し、その作成に着手し始めている。 と同時に、プロジェクトで用いたヘブライ語の刺激音について、独自に録音をし直す必要性が生じたことから、その手続きを開始し、調整を進めている。 プロジェクトで当初予定していた調音運動の測定について、EMA(Electromagnetic Articulography; 磁気センサ式調音運動計測システム)の特性を鑑み、新型コロナウィルス感染症流行下での実施が困難と判断したため、その実行が遅延しているものの、機器の操作やデータ分析に関しての研究を進めており、また、EEG(Electroencephalogram; 脳波計)のデータ処理や判読法についても研究が進んでいる。調音運動中の舌の形状を観察する目的で、EMAと超音波計測装置との併用の可能性についても検討を進めるとともに、パラトグラフィ(舌と口蓋との接触パターンを観察するための装置)の利用可能性についても視野に入れている。EMAでは、舌の後部の動きを正確に捉えることが困難である一方、超音波では当該部位が明瞭に描出でき、組み合わせての使用に意義があるものと考えられる。また、歯茎周辺における舌と口蓋との精確な接触状態を把握する目的で、最終的にパラトグラフィによるデータも盛り込んでの議論を目指すべきであると判断している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
プロジェクトで当初予定していた調音運動の測定について、EMA(磁気センサ式調音運動計測システム)の特性を鑑み、新型コロナウィルス感染症流行下での実施が困難と判断したため、その実行が遅延している。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、国立国語研究所との共同研究として、EMA(磁気センサ式調音運動計測システム)を用い、ヘブライ語・ロシア語の子音連続の調音運動の実態を計測し、その結果を広く公開する予定としている。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症の流行と、本プロジェクトにおける実験内容とを鑑み、安全性の確保に疑念が生じたことから、調音運動計測実験を延期していたため、その分の必要経費が繰り越されている。 2023年度においては、EMA・超音波計測装置・パラトグラフィなどさまざまな機器を用いての分析が予定されていることから、次年度使用額はそれらのために充てることとしている。
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