研究課題/領域番号 |
19K13169
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
篠原 靖明 早稲田大学, 商学学術院, 専任講師 (10732737)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 音素認識 / 音声知覚 / ミスマッチ陰性電位 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、ヒトが言語音を知覚する際、音素として認識する場合と音声として知覚する場合で脳反応がどのように異なるのか、調査をしている。先行研究では、この音素認識の場合にあらわれる脳波成分の計測と音声知覚の場合にあらわれる脳波成分の計測で別の方法を用いており、その脳波反応の差が音素認識と音声知覚の差であると結論付けられている。一方で、それらの実験は限られた条件下でしか行われておらず、ヒトが自然に音声を耳にする条件とは異なっている。そのため、その先行研究の結果がどこまでヒトの音素認識と音声知覚を反映したものであるか、疑問が残る。そこで本研究では、先行研究で用いられていない条件下においても、同様の脳波反応の差が得られるかどうか、実験により検証を行う計画を立てた。 本年度は、4年の研究期間の内の1年目であり、主に先行研究の整理、刺激音の作成と予備実験を行った。まず、もともと使用することを予定していた音素を日本語話者が識別する場合、出身地や方言によってその音素領域が異なるということが明らかになった。そのため、使用する音素を変更し、刺激音を新たに作成した。次に、ヒトがその刺激音を正しく音素として認識できるか検証するため、簡易な音素識別実験を実施した。コロナウイルスの影響により、この行動実験は予備実験をするにとどめたが、来年度以降に脳波計測実験を実施することを見据えて、刺激音の選定を進めた。今後は、脳波計測実験に向けた準備を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナウイルスの影響により、本年度3月に予定していた海外での研究打ち合わせをキャンセルした。また、3月に実施する予定であった国内での実験も延期した。そのため、本研究課題の進捗状況は、当初の計画よりもやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、2019年度に作成した刺激音をさらに改良し、実際に脳波計測実験で使用する準備を進める。2020年度は行動実験を実施し、2021年度以降に脳波計測実験を行う予定である。コロナウイルスの影響で今年度中に行動実験を行うことが不可能であれば、実験を行わずに刺激音の選定を推測的に進める。実験を実施できるような状況に変化した段階で行動実験を行い、脳波計測実験も実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルスの影響により、本年度予定していた海外での研究打ち合わせをキャンセルし、また予定していた実験も延期した。そのため、本年度に使用する予定であった予算を次年度に繰り越した。
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