研究課題
日本語母語話者が基本語順文及び非基本語順を理解する際、前者と比較して後者のほうが負荷が大きく、それを反映して左前頭部で持続的な陰性波が観察されることが知られている。この陰性波は作業記憶の負荷を反映していると従来考えられてきた。しかし、本研究課題で行った脳波実験により、従来の仮説は妥当ではないことを示した。具体的には、非基本語順の使用が適切となる文脈がある状況下では左前頭部陰性波は観察されなかった。しかし適切な文脈がある場合、非基本語順において移動していると考えられる目的語が、主語よりも構造的に高い位置に基底生成されている可能性が考えられたため、容認度調査及び追加の脳波実験を行った。その結果、非基本語順の目的語は旧情報であるときでさえ移動要素としてのステータスを持ち、また義務的に再構築が要求される場合でも適切な文脈があると左前頭部陰性波は観察されなかった。以上のことから、左前頭部陰性波が談話レベルの負荷を反映している可能性を指摘した。
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Gengo Kenkyu
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Language, Cognition and Neuroscience
10.1080/23273798.2021.1883694
Quarterly Journal of Experimental Psychology
10.1177/1747021820984623