研究課題/領域番号 |
19K13190
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
三木 浩平 近畿大学, 理工学部, 講師 (00815681)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | リーディング / 文理解 / 単語認知 / 同綴異義語 / 認知プロセス / 第二言語 |
研究実績の概要 |
【研究概要】本研究は、英語を第二言語とする日本人英語学習者が英文読解時に、同じ綴りであるにも関わらず複数の意味を持つとされる同綴異義語(homograph)を視覚的に認知する際に心内でどのように処理するのかを検証し、第二言語における英文読解の認知メカニズムを解明することを目的としている。とりわけ、日本人英語学習者が英文を読む際に同綴異義語を持つ複数の意味を心内でどのように活性化させるのか、単文の文脈においてのみに限定するのではなく、二文以上の文脈において、または文章レベルの文脈においての処理にも焦点を当てながら、心理言語学的手法を用いて、その性質を明らかにすることを目指すものである。
【令和三(2021)年度実施内容】令和三(2021)年度では前年度に引き続き、本研究に関連があると思われる先行研究を調査し、関連分野における最新の研究動向を追うことや、関連理論の整理を行った。また、今後の調査に関して本来的に実施予定であった心理言語学的実験手法を中心としたデータ収集方法以外の手法を使用することも現在の社会状況的に必要と思われるため、反応速度データ等の収集以外にも実施可能かつ本研究課題の遂行に関連があると思われる調査方法について検討し、今後の調査に向けて準備を進めた。
【意義,重要性】 新型コロナウィルスの感染拡大の影響もあり、今後、本研究では当初から予定していた心理言語学的実験手法による調査と並行して、その他の調査手法も柔軟に選択する可能性がある。この観点から、研究計画の再検討を行ったことと、今後の調査実施に向けて一定の準備に従事したことは今後の研究の進展のために意義、重要性があったと思われる。また、文献調査を継続的に行い、本研究課題に特に関連があると思われる理論や、関連性の高い実証研究の動向を把握しておくことは、本研究課題の今後の方向性を決定するうえで重要であったと思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウィルスの感染拡大を受けて、当初予定していた心理言語学的実験手法による調査を実施すること自体への制限と、調査参加者の確保に困難性が生じた。また、この点を受けて、今後の調査において使用する手法を新規に立案することや、研究計画自体を再検討し修正することが必要になったため。
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今後の研究の推進方策 |
現在の社会状況としては、本研究課題の当初の計画にあった心理言語学的手法の使用可能性も一定量は見込めるように思われるため、日本人英語学習者の英文読解時における同綴異義語の認知処理について、当初に予定していた手法を用いて調査をすることを予定している。また、新型コロナウィルスの感染が拡大する可能性も考慮すると、実験環境において対面で調査を実施することだけを想定するのではなく、非対面形式での実施を積極的に取り入れることも望ましいと思われる。そのため、前年度の想定と同様にインターネット環境を利用したオンライン上での調査手法についても取り入れる可能性を見込んでいる。収集できたデータを分析し、理論的考察を深め、研究成果を国内外の学会において報告し、その後、国内外のジャーナルへ投稿し最終的な成果を公表することを目指す。上記の計画は今後の社会状況の変化によって影響を受ける可能性もあるが、できるだけ早い段階で計画の修正と将来的な予測を行いながら、適正な調査の実施と成果の公表を目指していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの感染拡大の影響を受けて、当初予定していた期間において調査を実施すること自体に困難が生じた。また、この点を受けて本研究計画の実行が遅れたことと共に、当初参加予定であった各学会の研究大会への参加を見送ったこと、または複数の学会の開催形態がオンラインとなったために未使用額が生じた。
令和四(2022)年度では、これまでに実施予定であった調査に未使用額を充てると共に、追加的に実施することを予定している調査に対して未使用額を使用する予定である。また各学会の研究大会への参加、各ジャーナルへの投稿準備にも未使用額を充てる。新型コロナウィルスの感染拡大の状況によって、これらの計画は影響を受ける可能性があるが、今後の社会状況にも注目しながら適正な研究の実施を目指していく。
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