現代中国語においては存在を表す「場面文」には、「場所詞+動詞+名詞(主体)」という語順になる「存現文」と「名詞(主体)+動詞+場所詞」という語順になる「所在文」があります。周知のように、両者の語順については、存在物を表す主体名詞が「定性」を持つ場合は文頭に置かれ、「所在文」の主語となり、「不定性」を持つ場合は文末に置かれ、「存現文」の目的語になる傾向があります。このような傾向は、いわゆる「定性・不定性制限」という定説になっています。 孤立語である中国語は独自の文法性を持っており、英語の「定性」と「不定性」をそのまま当てはめることができないため、盛んに研究されています。「定性」と「不定性」の定義、範囲及び「定性効果」と「不定性効果」については、これまでの研究においてすでに大きな成果を上げています。しかし、「定性」と「不定性」の具体的な定義と範囲はまだ一致しておらず、様々な意見があります。また、存現文や所在文において、「定性制限」と反して、「不定性」を持つ名詞が主語になる用例や、「定性」を持つ名詞が「存現文」の目的語になる用例が多くみられます。 2023年度では、主に現代中国語における「定性」と「不定性」の判断基準と範囲についての従来の研究を整理し、これまでの研究成果を確認しました。その上、名詞の定性と不定性は、存在表現の語順とはどのような関係があるのかを検討しました。研究の成果は、まず中国語教育学会の研究会で口頭発表しました。また、報告の内容を修正し、研究ノートにまとめたものを紀要で掲載する予定です。
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