従来研究では、複数の参照方略が存在することが明らかにされてきた。ただし、それぞれの方略がどのような状況において用いられるのかという問題については議論されてこなかった。たとえば、参照を成功させる確実な方法は、相手に対して対象に関する知識を尋ねることであるが、この方法は、会話の進行性を損ねたり、相手に対して失礼にあたる可能性がある。そのため、会話の参加者は状況に応じて適切な参照方略を選択する必要がある。本研究は、コーパスを用いて、参照における言語活動の多様性を明らかにした。この成果は、人の言語活動の実態解明という学術的課題の進展に貢献するものである。
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