研究課題/領域番号 |
19K13208
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研究機関 | 四国大学 |
研究代表者 |
峪口 有香子 四国大学, 地域教育・連携センター, 講師 (10803629)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 方言分布 / 経年変化 / 追跡調査 / 空間分析 / GIS / データベース |
研究実績の概要 |
【本研究の目的】 本研究では、瀬戸内海域をフィールドとした方言研究の先駆的な業績である藤原与一・広島方言研究所編(1974)『瀬戸内海言語図巻』を対象としたデータベースの構築、実時間上の言語変容を解明するため、申請者が実施した瀬戸内海域での追跡調査結果のデジタル言語地図化を行う。計量地理学や地理情報システムの分野で開発された、空間的補間の方法を時空間にまで拡張し、言語変化の状況を探る。方言の衰退の実態や共通語化の進行状況を把握するとともに、瀬戸内海域言語伝播のパターンを解明することを目的とする。 【2019年度の主な研究成果】 2019年度の実施内容は大きく分けて、1)『瀬戸内海言語図巻』のデータベース構築と2)GISに基づいた言語変化の空間分析を進めることの2点である。 1)『瀬戸内海言語図巻』と追跡調査のデータベース構築を進めた。『瀬戸内海言語図巻』の老若二層の言語地図の電子化を進め、すべての地図を新たに大型スキャナーで読み取り、TIFFファイル化済みである。これらのファイルをGISに1枚ずつ読み込み、デジタル化を進めた。 2)言語変化の時空間分析をGISに基づいて分析を進めた。方言データは本質的にデータ規模の大きな多変量データである。過去・現在のデータをデータベース化し、Aタイプ→Bタイプに変化した地点の数をカウントするとともに、個々の変化したデータだけを取り出し、どの地域でどのような言語変化が起こったかを把握した。次年度は、データ間の距離を測定し言語伝播の状況についての考察を順次進めていく予定である。『瀬戸内海言語図巻』の見かけ時間上の変化、実時間の変化について考察を加え検討し、言語変化による方言衰退の実態解明と共通語化の進捗状況を明らかにしていきたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
言語地図のデータベース化が、遅れている。理由としては、①GIS化開始が秋以降となったこと、②調査後のデータ入力等の作業に時間を有したことなどがある。翌年度では、十分に時間をとり、データベース化が進められると考えている。また、引き続きデータの少ない地域には、現地に赴き面接調査を行っていく。
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今後の研究の推進方策 |
調査を開始した地域では、継続してデータ取得するとともに、データベース化を進めていく。分析にあたっては、分布データを正確に扱うことのできるGISを活用し、利用のための情報交換を活性化させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、予定していたデータベース構築作業の開始が秋だった為、データベース化作業が遅れてしまった。また、予定していたデータベースのデータ量に満たなかった為に、アルバイト代の支出が制限された。その他として計上していた経費は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い使用することが困難であった為、翌年に繰り越しし引き続きデータベース構築作業及びGISに基づいた言語変化の空間分析についての研究を遂行したい。
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