研究課題/領域番号 |
19K13214
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研究機関 | 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所 |
研究代表者 |
服部 紀子 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 言語変化研究領域, プロジェクト非常勤研究員 (00782989)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 蘭語学 / 英語学 / 国語学史 / 文法用語 / 蘭文典 / 英文典 |
研究実績の概要 |
本研究は、江戸時代から明治時代にかけて、日本語研究と蘭語学・英語学研究の相互的影響関係を解明するため、蘭語学・英語学資料群の総体の把握を目的としてる。具体的には以下の2点である。 (1)蘭語学・英語学資料の所蔵目録と文法用語リストを作成する。 (2)蘭語学・英語学資料目録、文法用語リスト、重要な蘭語学資料の電子化テキストの3点を関連付けたデータベースを構築する。 令和元年度は、当初の予定通り、網羅的に調査されてこなかった蘭語学・英語学資料所在目録の作成に取り組んだ。これまでにも所蔵目録としてまとめられたものはあったが、網羅的な調査ではなかった。特に近年は各図書館・資料館等がweb上において一部の蘭語学・英語学資料の画像公開を進めている。したがって、本年度はこれらの情報を含めて収集した目録作成を行い、7割程度完了した。 また、本年度は、後世への影響が大きいと判断される大庭雪斎『譯和蘭文語』の電子テキスト化作業に取り組んだ。入力作業は、日本語箇所とオランダ語箇所とを分けて発注した。特にオランダ語部分については近代語資料に精通したアルバイタを雇用した。『譯和蘭文語』は前編・後編5冊からなるオランダ語文典の翻訳文典である。日本語部分については全155,000字(マークアップ等の記号も含む)の入力が完了している。オランダ語については、原典となる”Grammatica of Nederduitsche spraakkunst”(『早稲田大学図書館古典籍総合データベース』)を参考に入力するよう指示し、質疑に対応しつつ入力作業を進めてもらった。その際、オランダ語の例文に付与されている日本語の訳語も入力し、文法研究だけでなく近代日本語における翻訳語の研究にも活用できるようにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
オランダ語の入力には専門性を有し、その人材確保に時間がかかってしまい、テキスト入力が完了していない。また、入力作業に注力したことから、所蔵先における資料調査まで至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
2年目は、人材の確保ができており、入力作業および文法用語のマークアップを行う。また、所蔵先における資料調査も合わせて行う。 3年目は、作成した所蔵目録、文法用語リスト、電子化テキストの関連付けを行い、蘭語学・英語学資料研究のためのデータベースを構築する。
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次年度使用額が生じた理由 |
人材の確保ができなかったことと、資料調査が進まなかったことにより、人件費と旅費に余剰が出た。令和2年度は、現地調査の旅費として、また、入力作業および文法用語のマークアップを重点的に行うための人件費として充当する。
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