研究課題/領域番号 |
19K13226
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研究機関 | 大東文化大学 |
研究代表者 |
堀内 ふみ野 大東文化大学, 経済学部, 講師 (80827535)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 前置詞 / CHILDES / 対話 / 相互行為 / 機能語 |
研究実績の概要 |
研究実績の概要は以下のとおりである。 【前置詞の習得に関する研究】第一に、子供の前置詞句単独発話(前置詞のみで構成された発話)の使用事例を月齢単位で観察し、発話横断的な構造から子供が前置詞を習得していく過程を、親の前置詞句単独発話とも比較しながら分析した。その研究成果をまとめた論文は、『語用論研究』22に掲載された。第二に、博士論文を基とした書籍の刊行に向け、前置詞の習得に関する分析事例の追加と新規の理論的枠組みに関する考察を行い、原稿の加筆修正を行った。当該書籍は2021年度中に刊行予定である。 【対話における機能語の使用に関する関連研究】第一に、日本語の会話における助詞「は」始まりの発話の特性を、発話横断的な構造の観点から分析した。その研究成果をまとめた論文はJournal of Pragmatics 172に掲載された。また、「は」以外の助詞で始まる発話の分析も進めており、現在、その成果を論文にまとめている。第二に、日本語の会話における指示表現の使用事例を、それを通して表明されるスタンスとの関わりから考察した。第三に、日本語日常会話コーパスを用いて、語とジェスチャーとの共起に関する分析を開始した。 【用法基盤アプローチに依拠した関連研究】日英語の句読法の使用を用法基盤(usage-based)のアプローチで分析し、句読点の使用に見られる特性とその生起環境との関わりについて考察した。この研究成果は、2021年度中に学会発表した上で、論文にまとめる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度は、執筆した論文が5本出版され、これまでの研究成果を発表することができた。ビデオデータを用いた研究に着手するなど、非言語情報も取り入れた分析を進める準備が整いつつある。 その一方で、新型コロナウイルス感染症の影響で、口頭発表を予定していた学会が次年度に延期され、新規研究の推進にはやや遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
コーパスを用いた英語前置詞の習得に関する研究を推進するほか、会話における機能語の使用についての考察を深めていく予定である。具体的には以下のとおりである。 第一に、親子会話における英語前置詞の使用に関する研究成果を、学会で発表した上で、論文にまとめる。 第二に、博士論文を基にした書籍の2021年度中の刊行に向け、引き続き原稿の加筆修正を行う。 第三に、日英語の話しことばにおける機能語の使用に見られる特性を、前後の発話との関係のほか、産出時の身体動作(指差し、移動等)との関わりの観点からも分析する。その成果を学会で発表した上で、論文にまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響により、複数の学会(国内・国外)や研究会が延期、中止、またはオンライン開催となった。これに伴い、使用予定であった旅費や宿泊費、学会参加費に、未使用分が生じた。延期後の日程における旅費および参加費として、次年度以降に使用する予定である。
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