研究課題/領域番号 |
19K13233
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
佐藤 智照 島根大学, 学術研究院教育研究推進学系, 准教授 (30804918)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 日本語学習者 / 文章読解 / 語用論的推論 / 関連性理論 |
研究実績の概要 |
本研究は、文章読解中の語の意味特定の成否に大きく関わる評価及びモニタリングに着目し、日本語学習者を対象とした調査を行い、その指導方法の提案を行うものである。 本年度は、文章読解中の語の意味特定について語用論理論である関連性理論から検討を行った調査を継続して実施した。その結果、日本語学習者が推論を行う際に用いるコンテクストは,文章の主題や言語的コンテクストだけでなく,コンテクスト的含意や文章の構成,言語的知識,背景知識など幅広いことが確認された。また,推論を行う際,複数のコンテクストを想定して複数の解釈を得たり,それらの解釈を当該の文章に当てはめて妥当性を判断することや,初めに得た解釈に対して意味的なつながりが保てないような新たな情報が与えられた場合,再解釈を行い,解釈の修正を行うことが確認された。一方,誤った解釈を行った日本語学習者は,複数のコンテクストの想定ができずに特定のコンテクストのみを想定した解釈を行うことや,初めに得た解釈について再解釈を行い解釈を修正することが難しいことが確認された。また,推論の方向性が明示的に示されない自由拡充では,推論の必要性に気づかずに誤った解釈を行う可能性が高いことが確認された。この調査により、正しい語の意味特定を行った読み手と誤った語の意味特定を行った読み手の語用論的推論の方略の違いについて明らかとなった。これらの違いは、読解指導を考えるにあたり、有益なものとなる。次年度は、これらの研究結果を踏まえた調査を行う予定である。現在、読解指導への応用についての検討を行っている。これまでの調査によって明らかとなった評価及びモニタリングの重要性に主眼をおいた指導を考え、教室指導に資する調査を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウィルスの影響により、調査の規模は、当初計画していたものよりも小さいものとなったが、より質的な分析を行うことで、明らかになった点が複数あった。
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今後の研究の推進方策 |
これまで、新型コロナウィルスの影響により調査の実施に支障が出ている。当初の計画から規模を縮小し、量的検討から質的検討へと研究アプローチを変更する予定である。これらの検討をとおして、研究課題の解決に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの影響により、当初の予定よりも調査が進まず、調査のための使用を想定した人件費・謝金、旅費等について当初の予定よりも少なくなっているため。
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