研究課題/領域番号 |
19K13240
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研究機関 | 東京福祉大学 |
研究代表者 |
山口 雅代 東京福祉大学, 教育学部, 准教授 (60763795)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 日本語教育史 / チェンマイ日本語学校 / 南機関 / ボルネオ・カンパニー |
研究実績の概要 |
2021年度も2020年度と同様、コロナ禍にあり、海外での調査・発表を行うことができなかった。2021年度も、2019年度に行った台湾・タイでの調査の精査を行った。 2019年7月29日から8月3日までに行った台湾での調査においてタイと台湾の日本語普及に関する資料を見出すことができ、2022年度に以下の2つにまとめた。2020年11月29日(日)に日本語教育学会秋季大会オンラインで口頭発表を行い、それを再度精査した。その結果、2021年度の『東京福祉大学・大学院紀要』第12巻に、タイの日本語教育史にとって台湾との交流があったことを発表した。1940年6月と1941年6月にバンコク日本語学校の学習者が日本での視察後に台湾に寄っていたこと、台湾総督府からバンコク日本語学校に教科書が送られていたこと、1941年にタイから台湾に留学した農業練習生がバンコク日本語学校で日本語教育を受けた後、台湾で日本語教育を受けていたことがわかった。また、2022年2月刊行の『新世紀人文学論究』第6号に、タイの新聞と台湾との関係が強固であることを示した。台湾の善隣協会が、タイで発行されていたタイ語の「カオ・パープ」を1940年3月に、中国語の「中原報」を1942年3月に買収したこと、1942年3月から日本語の「バンコク日報」を発行したことを発表した。この2つの発表から、タイの日本語教育史研究について、これまでは日本とタイの間で考えられてきたが、今後は台湾を見据えた研究や南洋全体を含んだ研究が必要であるという提言を行った。 2020年2月24日から26日までのチェンマイでの調査では、課題となっていた、田中盛之助の孫娘の聞取りをチェンマイ側の研究協力者に依頼し、録音をお願いした。また、録音した音源をタイ語から日本語へ翻訳者に依頼した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍にあり、計画していた海外での調査を行うことができなかったことと、2019年度に行った、台湾とチェンマイでの調査を精査したことによる。 まず、台湾での調査は、日本とタイに残っていないチェンマイ日本語学校の資料を探すことであった。しかしながら、チェンマイ日本語学校の資料は見つけることができなかったが、タイと台湾の日本語教育についての交流があった資料を見つけることができた。そこで、これらの精査を行い、2022年度に論文として発表した。 チェンマイでの調査では、チェンマイ日本語学校についての新たな証言を得、2021年度に論文として発表し、2つの課題を記載した。1つは田中盛之助の孫娘に聞取り調査を行うことであったが、これは研究協力者に依頼し行ったが、もう一つの課題である、チェンマイにある国立公文書館の検索は行うことができなかった。 海外での調査として、コタバル日本語学校に関しては、現在手つかずのままである。マレーシアのコタバルでの調査が残されたままになっている。 以上のようにコロナ禍において、海外での調査が行えなかったことと、予期しなかった資料や証言を得られ精査し、論文にしたことが遅れた原因である。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度コロナ感染症がある程度収束すれば、台湾とマレーシアでの調査を行いたいと考えている。台湾では、台湾研究古籍資料庫(中央研究院台湾史研究所)と台中にある国立公共資訊図書館において、チェンマイ日本語学校に関する資料を探す。マレーシアのコタバルにおいてコタバル日本語学校がどこにあったのか、調査したいと考えている。 コロナ感染症収束が見込めない場合は、台湾やマレーシアの調査を行うことができない。そこで、バンコクとチェンマイにいる研究協力者にチェンマイの国立公文書館の検索とコタバル日本語学校の調査の依頼を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は、2020年度と同様コロナ禍で海外での調査ができなかった。2022年度は、コロナ感染症の状況を見て、海外で調査が行えるかを判断し、できる状況になれば、調査を行う。しかし、できない状況が続けば、タイ側の研究協力者にこれまでの課題を依頼することを考えていく。
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