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2020 年度 実施状況報告書

ベトナム人日本語学習者における日本語漢字単語の学習と処理

研究課題

研究課題/領域番号 19K13250
研究機関岡山大学

研究代表者

長野 真澄  岡山大学, 全学教育・学生支援機構, 准教授 (40633699)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードベトナム人日本語学習者 / 漢越音 / 語彙判断課題 / 心内辞書 / インタビュー
研究実績の概要

ベトナム語では,表記としての漢字は使用されず,個々の漢字に対応するベトナム語音(漢越音)で構成される「漢越語」が全語彙の7割程度を占める。本研究は,ベトナム人日本語学習者の母語の漢越音の知識が日本語の漢字単語の処理にどう影響するかを検討することを目的の一つとする。先行研究では,中国人日本語学習者や韓国人日本語学習者の母語の漢字知識,あるいは漢語由来の語彙の知識が日本語漢字単語の処理に影響を与えることが明らかにされている。また,ベトナム人中級日本語学習者を対象とした実験では,日本語漢字単語の意味処理にベトナム語との音韻類似性が影響することが示され,音韻処理にはベトナム語との使用漢字の異同と音韻類似性が関与することが示唆されている。
2020年度は,ベトナム人上級日本語学習者を対象とした実験結果の分析を行った。実験では,日本語の漢字と漢越音の関連性について十分な知識を持つベトナム人上級日本語学習者を対象とし,日本語漢字単語とその翻訳同義語のベトナム語単語の使用漢字の異同と音韻類似性を操作した単語材料を用いた。語彙判断課題を採用し,反応時間を測度として検討した結果,音韻類似性による促進効果がみられ,日本語漢字単語の意味処理にベトナム語の音韻表象の活性化が影響することが示された。このことから,ベトナム人上級日本語学習者の心内辞書において,2言語の音韻類似性が高い場合に両言語の音韻表象間の連結が強いことが示唆されたといえる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

コロナ禍の影響により,新規のデータ収集ができておらず,それ以前に収集したデータの分析及び考察も遅れ気味である。

今後の研究の推進方策

ベトナム人上級日本語学習者を対象とした実験結果の考察を進め,中級日本語学習者を対象とした実験結果と比較することにより,日本語力向上に伴う心内辞書の構造の変容と,日本語漢字単語の処理過程の違いを明らかにする。また,分析が遅れているインタビューデータの分析と考察を進め,個々の学習者の漢字単語学習における漢越音知識の影響を検討する。
以上の内容を2021年度中に研究成果として論文にまとめたい。

次年度使用額が生じた理由

2020年度はコロナ禍により学会及び研究会参加に伴う出張がなかったため,次年度使用額が生じた。次年度使用額は研究環境の整備に使用する予定である。

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公開日: 2021-12-27  

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