研究課題/領域番号 |
19K13252
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研究機関 | 徳山大学 |
研究代表者 |
山本 晋也 徳山大学, 経済学部, 准教授 (20710742)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | キャリア形成プロセス / 個人の経験と内的変容 / キャリア形成プロセスの言語化 / 経験の意味づけと更新 |
研究実績の概要 |
2020年度は、前年度に実施したパイロット調査を基に、調査記録(音声記録)の文字化作業、および調査結果の分析を中心に行った。そして、その成果の一部を、山本晋也(2020)「留学生はいかに自身のキャリアを形成していくのか―留学・兵役・就職を経験した韓国人留学生の事例から―」(『日本語教育研究』51,韓国日語教育学会,pp.133-148)にまとめた。 同論文は、本研究の課題である外国人留学生の「留学」から「就職」に至るまでの個人の経験と内的変容について、TEM(複線径路等至性モデリング:Trajectory equifinality modeling)の手法を用いて可視化を試みたものである。外国人留学生が日本での「就職」を決意し、就職活動を経て実際に働き始めるまでの長期的なプロセスを可視化することで、留学生の「キャリア」がいかに育まれているかを明らかにし、キャリア形成支援に携わる上での実践的な手掛かりを提示した点に、研究的意義がある。 また、上掲論文で示した留学生のキャリア形成プロセスを基に、教育実践への応用を試みたものが、山本晋也(2020)「留学生のキャリア形成プロセスの言語化をめざす日本語教育実践の意義」(2020年度早稲田日本語教育学会:口頭発表)である。同発表では、研究代表者が実施した「過去・現在・未来につながる自身のキャリア形成プロセスを、レポート・ディスカッション・マップ作成などの手法を用いて言語化する」という教育実践の事例を取り上げ、その意義について分析した。外国人留学生の「キャリア」を理解するための理論提示のみならず、具体的な教育実践の事例を提示した点は、本研究課題の発展的成果につながり大きな意義があると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、パイロット調査の成果を踏まえ、同年度内に本調査として16名~20名の外国人留学生へのインタビュー調査を予定していた。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、大学内外での対面調査の実施が困難となったため、結果として6名のインタビュー調査を行うにとどまっている。また、これまでの分析結果についても当初発表を予定していた学会が軒並み中止、または開催延期となり、十分な報告ができていない。以上のことから、本研究課題の進捗状況については「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は対面調査に拘らず、オンラインでのインタビュー調査を行うなどして、データの蓄積と分析をめざす。また、データ分析に関して、本研究課題において採用したTEM(複線径路等至性モデリング:Trajectory equifinality modeling)の手法から、多人数の分析による「径路の類型化」よりも、「径路の多様性・共通性」を描く方向にシフトし、研究課題の解決をめざす。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費に関しては、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、当初予定していた学外での研究調査実施が困難となったこと、併せて、参加を予定していた学会が中止となったことによるものである。また、同時に研究調査実施の遅れから、人件費・謝金についても変更が生じた。 次年度もおそらく学外調査・移動を伴う学会参加が困難であることが予想される。そのため、人件費・謝金、および物品費については、オンラインでの研究調査実施および成果報告を想定して、使用計画を変更したい。
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