研究課題/領域番号 |
19K13252
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研究機関 | 周南公立大学 |
研究代表者 |
山本 晋也 周南公立大学, 経済学部, 准教授 (20710742)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 主観的キャリア / 転機 / トランジション |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、日本での大学学部留学を経験し、卒業後に日本国内企業へと就職した外国人留学生のキャリア形成過程について明らかにすることである。そのために、本研究では留学生活を通じた個人の主観的成長と日本での就職に関する「転機(トランジション)」の語りに着目した。そして、外国人留学生を対象とするインタビュー調査を実施し、どのような経験が転機となり得るのか、また、その経験が主観的キャリアの形成にどのような影響を与えたのかを調査した。2022年度の主な研究実績は、以下の3点である。 1)上記研究課題に関連し、日本語教育・心理学を中心とするキャリア関連の文献調査を実施した。2)新規インタビュー調査として2023年4月に日本国内企業に入職予定の外国人留学生(調査時点で大学4年生)3名を対象に、計5回のインタビューを実施した。3)新規調査と並行して、昨年度までに実施したインタビュー調査の取りまとめと分析を行った。 以上の調査結果から見えてきたのは、留学生の語る転機の経験が、留学生活を支えるコミュニティとの関わりや人間関係構築における様々な困難を伴うものであるという点である。また、それらの困難を乗り越える過程で、個人の価値観やアイデンティティに変容が生じていることも明らかになった。本年度は、これらの調査結果を踏まえて、2022年4月のプリンストン日本語教育フォーラム・2022年5月の日本語教育学会、2023年3月の言語文化教育研究学会において、計3回の学会発表(全てオンライン)を行った。また、調査や発表の成果をもとに学術論文を作成し、学会誌等への論文投稿を行い、そのうちの一部が採択となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は一部期間において対面・学外での研究調査を再開したものの、新型コロナウイルスの感染拡大状況に応じて、調査の中止や延期を迫られることがあった。そのため、新規調査は3名のみと目標には届かったものの、これまでに得られたデータの取りまとめと分析を進めることで、計3回の学会発表(全てオンライン開催)を実施することができた。また、併せて研究成果に基づいて論文作成を進め、学会誌等に論文投稿を行った結果、その一部が採択となった。以上のことから、進捗状況については「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、これまでと同様に文献調査を実施するほか、2022年度に実施した調査のフォローアップインタビューを実施する。また、本研究課題の最終年度にあたるため、これまでの研究成果を総括し、日本語教育関連の学会発表や論文等での成果公開を行っていく。以上の取り組みを通じて、日本での留学・就職を通じた外国人留学生の主観的キャリア形成プロセスについてまとめていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた主な理由は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、対面・学外調査の実施が困難となったこと、加えて、成果報告を予定していた学会がオンライン開催となったことに伴い、調査費や出張旅費が不要となったためである。2023年度は一部学会での対面開催が決定しているほか、対面・学外調査の実施も可能となったため、そちらでの調査・出張旅費に充てていく予定である。
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