本研究の目的は、地方大学に留学した外国人留学生を対象に、大学入学から卒業後の日本国内での就職に至るまでの主観的キャリア形成の過程について明らかにすることである。そのために、大学在籍中に内定を獲得した留学生約20名を対象とした複数回のインタビュー調査を実施した。その結果、内定獲得に至る留学生の多くがキャリアのトランジション(転機)を経験していること、また、トランジションの過程で生じる困難や葛藤を乗り越えた経験が、日本語能力の伸長を含む全人的成長をもたらしていることを明らかにした。これらの経験が「日本での就職」という選択を後押しし、また、実現の支えとなっていることを示した。
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