研究課題/領域番号 |
19K13255
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
内野 駿介 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (80825456)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 文法知識 / 暗示的知識 / 明示的知識 / 小学校英語 / 実態調査 / 英語運用能力 |
研究実績の概要 |
3年間の当初計画の3年目である。本年度の主な研究業績は以下の2点である。 <2018年度調査結果の再分析> 小学生が英文の文頭からどこまでをひとかたまりとして認識しているかを明らかにするため,2018年度調査で実施した模倣発話課題 (Elicited Imitation Test) の結果について,用法基盤理論の点から再分析を行い,結果を公表した。模倣発話課題は刺激文を聞いた参加者がポーズの後にその文を復唱する課題であり,手続き化された文法知識 (暗示的知識) の操作的定義として用いた。小学5, 6年生446名による15文の復唱データを分析した結果,以下のことがわかった。①I can...,I want to,I like...のように,児童が触れる頻度が高い表現はかたまりとして認識されやすい。②be動詞,can,want toを含む文では復唱語数に学年差がみられるものがあり,学習が進むに従って英文の内部構造の理解が進んでいる可能性がある。 <日本人小学生の文法知識に関する実証研究の収集と統合> 日本人小学生の文法知識に関してこれまでに行われた実証研究を収集し,その成果をまとめた。その結果,日本人小学生の文法知識を対象とした研究の数は多くないものの,①学習が進む/学年を経ると概して文法知識は伸長すること,②文構造によって知識の身につけやすさには差があること,③単語が組み合わさって文になるというボトムアップ的な認識よりも,英文全体をひとかたまりとして認識し徐々に細分化していくというトップダウン的な認識のほうが小学生段階では卓越していると考えられること,が明らかになった。成果は書籍の一部として出版,公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の研究計画では本年度は3年計画の3年目であり,これまでの研究成果を統合して公表する予定であった。しかしながら,2年目以降における新型コロナウィルス感染症の流行拡大により,2年目に実施予定であった文法知識と英語運用能力の関係についてのデータ収集,教師の指導と児童の文法知識獲得の関係についてのデータ収集が実施できていないことに加え,これまでに収集した研究データの統合作業が予定通りに進んでいないのが現状である。 従って,(3)やや遅れていると判断するとともに,研究期間を1年間延長して次年度に研究のまとめを行うこととした。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間を1年間延長し,次年度に研究のまとめを行う。また可能であれば児童の文法知識と英語運用能力の関係についてのデータ収集及び教師の指導と児童の文法知識獲得の関係についてのデータ収集を行うが,感染症流行の状況次第では新たに小学生を対象とした調査を実施することができない可能性もある。状況次第では過去の調査結果の再分析等による間接的な検討も視野に入れる。
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次年度使用額が生じた理由 |
参加予定であった学会がオンライン開催となり,旅費の支出額が当初予定よりも少なくなったことにより次年度使用額が生じた。 当初は本年度までの研究計画であったため,繰越額をもって翌年度の学会参加をはじめとする研究結果の公表のために主に使用する予定である。
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