研究課題/領域番号 |
19K13255
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
内野 駿介 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (80825456)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 文法知識 / 暗示的知識 / 明示的知識 / 小学校英語 / 実態調査 / 英語運用能力 |
研究実績の概要 |
3年間の当初計画であったが,1年間研究期間を延長したため通算4年目である。本年度の主な研究業績は以下の通りである。 <明示的知識・暗示的知識の操作化に関する先行研究の収集と統合> 明示的知識・暗示的知識をどのように操作化するかについては第二言語習得研究において長年にわたり議論が続けられており,本研究課題の開始後も新たな測定方法の提案を含む数多くの論文が出版されている。これまでの第二言語習得研究において文法知識がどのように定義され,操作化されてきたのかについて,明示的知識・暗示的知識の点から改めて先行研究を収集,統合した。特にR.EllisらがThe Marsden Studyを通して提案した操作化――Oral Narrative Test, Elicited Imitation Test, Timed Grammaticality Judgement Testを暗示的知識,Untimed Grammaticality Judgement TestとMetalinguistic Knowledge Testを明示的知識の操作的定義とするもの――を議論の中心に据え,それに対する賛否について多角的に論じた。その結果,明示的知識と暗示的知識の測定方法の妥当性について一貫した結論が得られているとは言い難く,そもそも,多くの研究者が暗示的知識と明示的知識のインターフェースを認める立場を取っている以上,暗示的知識だけを純粋に抽出して測定することは困難であることが再確認された。成果は論文として執筆中である。 <文法知識の習得の点からの小学校英語の授業分析> 授業中の教師の指導が児童の文法知識の習得にどのような影響を与えているかを明らかにするため,小学5年生の外国語科の授業1単元(8時間扱い)について,教師が児童に与える訂正フィードバックの点から分析を行った。分析の結果,成果は学会で研究発表を行った後,論文として投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初本研究は3ヵ年の研究計画であったが,2年目以降における新型コロナウィルス感染症の流行拡大により,2年目に実施予定であった文法知識と英語運用能力の関係についてのデータ収集,教師の指導と児童の文法知識獲得の関係についてのデータ収集が実施できていないことに加え,これまでに収集した研究データの統合作業が予定通りに進んでいなかったことを踏まえ,研究機関を1ヵ年延長して研究のまとめを行うこととした。 しかしながら,本年度においても研究データの統合作業及び論文化が完了していないため,(3)やや遅れていると判断するとともに,さらに1年間研究機関を延長して次年度に研究のまとめを行うこととした。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間をさらに1年間延長し,研究のまとめを行う。また可能であれば児童の文法知識と英語運用能力の関係についてのデータ収集及び教師の指導と児童の文法知識獲得の関係についてのデータ収集を行うが,感染症流行の状況次第では新たに小学生を対象とした調査を実施することができない可能性もある。状況次第では過去の調査結果の再分析等による間接的な検討も視野に入れる。 研究の成果は論文として発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
参加予定であった学会がオンライン開催となり,旅費の支出額が当初予定よりも少なくなったことにより次年度使用額が生じた。また研究のまとめとなる論文執筆が完了しなかったため,英語論文の校正費を支出しなかった。 当初3ヵ年の研究計画だったものを本年度1ヵ年延長して4年計画としたが,さらに1ヵ年延長して次年度も研究を継続するため,繰越額をもって翌年度の学会参加をはじめとする研究結果の公表のために主に使用する予定である。
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