研究課題
3年間の当初計画であったが,2年間研究期間を延長したため通算5年目である。本年度の主な研究業績は以下の通りである。<研究成果のまとめ・公表>上述の先行研究に加え,本研究課題においてデータ収集・分析した調査の結果をまとめた。本研究課題での調査を通して得られた結果を統合すると,以下の点が明らかになった。第1に,児童は小学校の英語の授業を通じてある程度の暗示的知識を習得できているようであるが,文法事項や定型表現の種類,文中のスロットの位置によって習得のしやすさが異なるようであり,特にその文法事項に触れる頻度が暗示的知識の習得に影響している可能性が示唆された。第2に,小学校の英語の授業では教師と児童の口頭でのコミュニケーションが重視され、明示的な文法指導は限定的であるにもかかわらず,小学生は自らが獲得した暗示的知識に基づいて,明示的な英文法の規則を帰納的に推論することができる可能性が示唆された。また,暗示的知識の場合と同様に,明示的知識の獲得しやすさも文法的特徴や文中のスロットの位置によって異なる可能性が示唆された。第3に,暗示的知識と明示的知識の習得度は必ずしも同レベルではなく,児童がが明示的な知識を持っていることが必ずしも暗示的知識が存在する根拠とはならない(逆も同様)ことが示唆された。第4に,英語の文の内部構造に関する知識についても上記の点は同様であった。しかし,その習得の程度は文法的特徴や文中のスロットの位置によって異なり,習得のしやすさには学習者が対象とする特徴に触れる頻度が関係しているようであった。特徴に接する頻度が暗示的知識の習得のしやすさに直接影響することを考えると,英語の文の内部構造についてはまず暗示的知識が習得され,明示的知識は二次的なものである可能性が示唆された。
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北海道教育大学紀要. 教育臨床研究編
巻: 74 ページ: 105~120
10.32150/0002000100
Doctoral dissertation, Tokyo Gakugei University
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