本研究では、日本の高校レベルの英語授業で、教師がどのように英語を用いれば、生徒の理解が促進され得るかを提案、検証した。日本のような環境で、できるだけ効果的に英語の習得が促進されるようにするためには、授業中、英語「について」の知識を増やすばかりではなく、やはり英語そのものを聞いたり読んだりしながら、意味あるやりとりをする機会を確保する必要がある。教師の口から発せられる英語もその貴重なインプットの一部となる。教師の英語使用については、以下の2点が特に肝要だと考える。1. あいさつや指示など、定型表現が多いクラスルームイングリッシュだけを英語で行うのではなく、新出言語材料を提示したり意味を伝えたり、理解度を確認したりするような場面でこそ英語を用いるべきである。そのような仕方で英語を使えば、英語「で」新しい事柄を理解する機会が増え、学習者の英語理解度が増進されるからである。2. 教師が一方的に英語を話すのではなく、英語で質問をしたり理解度を確認したりしながら、学習者を巻き込み、発話を促すような指導スタイルで英語を使用してこそ、その効果はより高いものとなる。 以上の点を踏まえ、本研究では、特に新出の英単語を英語で指導する方法を提案した。指導の際は、指導項目を引き出す(Eliciting the target items)、意味を伝える/描写する(Conveying/illustrating meaning)、質問をして理解度を確認する(Checking understanding by questions)という3つのスキルを組み込み、一定の成果を得ることができた。成果は論文化しただけではなく、ワークショップ形式で他の先生方にも紹介するなどした。
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