研究課題/領域番号 |
19K13295
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研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
細越 響子 京都府立大学, 文学部, 准教授 (40750576)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | EAP / アカデミックリスニング / 講義 / ムーブ分析 / メタ談話標識 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、英語学術講義のムーブ分析を行うことで、学術目的の英語(English for Academic Purposes: EAP)の音声言語の論理展開の傾向を明らかにした上で、談話の把握に着目したEAPリスニング教材の開発を行うことである。この目的を達成するため、2019年度は以下のことを行った。 1.EAP講義ジャンルの談話に着目した言語分析事例の収集:Biber (2006)のコーパス分析やAguilar (2008)の談話分析など、英語講義を対象とした言語分析の先行事例を検討した。その結果、本研究のメタ談話標識(Metadiscourse markers: MDM)とその展開(ムーブ)についてムーブ分析を行うという手法の妥当性を確認できた。 2.TED TalksのMDMに焦点をあてた談話分析:日本の大学英語教育で近年注目が集まっているオンライン英語講義教材TED Talksを対象に、談話構成の分析を行った。再生数の多い26教材を取り上げ、Hyland (2005)のMDMリストを基準に、文脈に考慮したMDMタグ付与を完了することができた。 3.TED Talksのムーブ分析に向けたMDMタグ付与の検討:1.の言語分析手法に関する先行研究を踏まえ、2.で実施したMDMタグ付与の方式が音声言語の修辞的展開を捉えるムーブ分析の指標として有効であるか検討を行った。その結果、これまでの先行研究(Lee, 2009; Thompson, 1994)では調査範囲が講義の導入部に限られていたのに対し、本研究のMDMタグを活用したムーブ分析では講義の一部始終を分析対象とできることを確認した。 4.研究発表や学会への参加:国内の関連学会に参加し研究発表を行うとともに、リスニングを中心とするEAP教育や言語分析手法に関する最新の研究動向を把握した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、EAP講義ジャンルの談話に着目した言語分析事例の収集を踏まえて、短い英語講義の事例としてTED Talksを取り上げ、メタ談話標識およびムーブ展開の分析を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、長めの英語講義の事例として国内外の先行研究で使用されることの多いミシガン米口語コーパス(MICASE)の英語講義を対象に、メタ談話標識およびムーブ展開の分析を実施する予定である。まず、Hyland(2005)のMDMリストを基準にMICASEにおける該当表現を機械的に抽出する。その後、抽出された表現について文脈を考慮しながらMDMタグ付与を行い、その修辞的展開についてムーブ分析を実施する。 2020年度の分析では扱う言語データの分量が大規模になるため、2019年度の言語分析に関する先行事例の検討と、TED Talksを対象としたムーブ分析で得られた知見を分析の効率化に活用する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入を予定していた物品の価格が計画時より変更となったため、少額ではあるが、次年度使用額が生じた。
予定していた物品の購入に使用する。
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