研究課題/領域番号 |
19K13304
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
小川 知恵 京都産業大学, 文化学部, 准教授 (40645107)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 英語スピーキング / 第二言語習得 / 言語テスティング / speaking assessment / CAF |
研究実績の概要 |
本研究では、大学生である日本人英語学習者のスピーキング能力の育成とスピーキング評価について研究する。日本人英語学習者48名を対象として、授業内でモノローグ型スピーキング・タスクを毎週練習した。学習者をグループに分け、モノローグタスクにおいて話の組み立て方を訓練する実験群とそうではない統制群にわけ実験を行なった。13週間タスク練習を終えた学習者の英語スピーキング力はどのように向上・変容したのか、CAF 観点(Complexity:言語の複雑さ、Accuracy 正確さ、Fluency流暢さ) に基づき音声データを分析した。CAF観点を使った分析は、文字起こしされたデータを、(1)学習者の算出した英語の文の長さ文節の多さと(Complexity)、(2)どの程度文法が正確なのか(Accuracy)、(3)どの程度沈黙があるのか、(4)どの程度スムーズに話せるのか(Fluency)を計算する 。数値化したデータをSPSSを使用し統計的に分析を行った。 また、評価者11名にお願いし、大学生の英語スピーキングを4つの観点(Organization:話の組み立て、Complexity:言語の複雑さ、Accuracy 正確さ、Fluency流暢さ)から評価してもらった。評価素点はラッシュモデル という統計ソフトで分析した。初年度(2019年度)では、既に着手していた音声データ分析に焦点を当てた。中間結果としては、モノローグ型スピーキングタスクの練習を経て、英語学習者のスピーキング力は、CAF観点の中で特に流暢さを大きく伸ばすことができた。また、評価者によるコミュニケーション達成度も統計的優位に向上した。2年目は(2020年度)CAF指標と、評価者のスコアについての相関関係を分析した。また、評価者のスコアはどの程度CAFによって説明されるのか回帰分析を行なった。評価者スコアとCAFの関連性についての論文執筆を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度(2019年度)は分析に必要な統計ソフトSPSSや音声機器を購入し、音声データをCAF指標(Complecity, Accuracy, Fluency)とコミュニケーション達成度評価について、統計分析を行った。分析結果を国際TBLT学会(Task-based Language Teaching)とEuro-SLA学会(Second Language Acquisition)にて発表した。 2年目(2020年度)は分析した英語スピーキングデータの統計分析をまとめることができた。 また、2つの論文執筆に取り掛かった。1本目の論文ではCAFに焦点を当て、1学期の前後でどの程度学習者の英語スピーキング力が伸びたかを分析した。論文を英語で執筆しており、一つの国際誌に投稿した。現在査読結果が返却され修正を行なっている。2本目の論文は、評価者の英語スピーキング評価に焦点を当て、評価者スコアについてラッシュモデル を使用し分析を行った結果について英語論文にまとめ、国際誌に投稿できるよう執筆している。 2020年度は、コロナの影響で学会等が全て中止となり、予定していた学会発表ができなかった。論文の査読審査が思ったより時間がかかり、2021年3月現在、採用決定には至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
当初2年間の研究計画であったが、科研費最終年度延長承認申請を行なった。 2021年度(最終年)は昨年度オランダで行われる予定だったAILA学会( International Association of Applied Linguistics)が2021年度8月にオンライン学会として延期されたので、発表予定である。また、国内では、5月にJALT PANSIG学会での発表が決定している。 論文執筆では、英語スピーキングデータを分析した結果を研究論文にまとめて、査読付き学会誌に投稿する準備をしている。
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次年度使用額が生じた理由 |
自然災害によるもの(感染症の流行等も含む)。 コロナの影響で、国内外の学会は全て中止となり、予定していた発表を行えなかったため、学会旅費を最終年度の研究に使用することに変更した。
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